
沖縄県名護市辺野古沖で研修旅行中の同志社国際高校(京都府京田辺市)の生徒らを乗せた船2隻が転覆し、生徒ら2人が死亡した事故で、文部科学省が22日に調査結果と見解を公表したことを受け、同校と同校を運営する学校法人同志社(京都市)は同日、それぞれのホームページでコメントを発表した。
両者とも、安全管理や教育活動が「著しく不適切」とされたことを重く受け止め、責任を痛感していると表明。再発防止策を提示するとともに、遺族など関係者に改めて謝罪した。
同志社国際高校はコメントで、事故により生徒の尊い命が失われ、多くの生徒が負傷したことに深い哀悼の意を表明。遺族や生徒、保護者をはじめとする関係者に対し、心からのおわびを伝えた。
その上で、文科省が、研修旅行の事前の計画や当日の対応、安全管理、教育活動について「著しく不適切」だったとする見解を示したことに言及。辺野古の米軍基地移設工事に関する学習については、「特定の見方・考え方に偏った取り扱い」だとし、「政治的活動を禁じる教育基本法第14条第2項に反するものであったと考えられ、是正を図る必要がある」と評価されたことに触れた。
同校はこれを踏まえ、「安全確保を十分に果たすことができなかったことの責任を改めて痛感」するとともに、教育活動についても不適切だとする見解が示されたことについて重く受け止めるとした。同日には、所轄庁である京都府からも同様の見解と是正措置を取るよう指導を受けたとし、危機管理マニュアルの見直しによる安全管理体制の再構築、教育活動の点検・見直しを進めていく方針を示した。
同志社はコメントで、事故について、安全確保が十分に果たされなかった結果として発生したとし、「極めて重大な責任を痛感」していると表明。文科省の調査結果と見解を「厳粛かつ真摯(しんし)に受け止め」るとし、外部の専門家による特別調査委員会の調査や遺族・被害者への継続的な支援、再発防止策に取り組むとした。
具体的な再発防止策としては、▽校外活動の安全管理を統括する「安全管理室(仮称)」の設置(10月予定)、▽安全管理マニュアルの見直しと校外活動に関する統一的安全基準の策定・適用、▽校外研修などの教育プログラムの安全性についての事前審査制度の導入、▽教育内容の適切性の検証と継続的なチェック機能の構築──に取り組むとした。
事故で亡くなった女子生徒(17)の遺族も、文科省の調査結果と見解を受け、インターネットの投稿プラットフォーム「note(ノート)」にコメントを投稿した。
22日の投稿では、「全容解明や再発防止に向けて大きな前進となるものだと思っています」とコメント。辺野古の米軍基地移設工事に関する学習が教育基本法に反していたとする文科省の見解については、「賛否のある議題を取り上げるのが悪いのではなく、取り上げる場合は一方に偏るのが良くないということが、見解として示されたこと」などと述べた。
23日の投稿では、女子生徒の死が無駄にならないよう、「同志社国際高校だけではなく、子供たちを預かる立場のすべての教育機関や学校において(安全管理体制を)見直す機会となって欲しいと思います」とつづった。
文科省は事故を受け、京都府と連携して、4月24日に職員を同志社に派遣するなどして現地調査を実施。調査結果として「これまでに把握した事項」と、文科省としての見解を記した20ページからなる文書を今月22日までにまとめ、25日にはホームページでも公開した。
事故は、3月16日午前10時10分ごろに発生した。日本基督教団佐敷教会牧師(沖縄県南城市)の金井創(はじめ)氏(71)が船長を務めていた「不屈」が初めに転覆し、その後、救助に向かおうとした「平和丸」が約2分後に転覆。金井氏のほか、平和丸に乗船していた女子生徒が死亡し、生徒12人と乗組員2人の計14人が負傷した。
金井氏を巡っては、海上運送法に基づく事業登録をせずに生徒らを運送していたとして、内閣府沖縄総合事務局が22日、同法違反容疑で中城(なかぐすく)海上保安部に刑事告発している。国土交通省の発表によると、金井氏は2023年以降、同志社国際高校から文書で依頼を受け、25年を除く3年で計6回にわたり、同校の生徒・教員を運送し、謝礼を受けていたとされる。