2026年5月22日08時41分

ワールドミッションレポート(5月22日):サウジアラビア スンニ派の盟主に吹く新風「ビジョン2030」が扉を開く

執筆者 : 石野博

ワールドミッションレポート(5月22日):サウジアラビア スンニ派の盟主に吹く新風「ビジョン2030」が扉を開く
サウジアラビアの首都リヤド(写真:lawepw)

イスラム教の二大聖地、メッカとメディナを擁し、長年にわたって世界で最も厳格なイスラム法(シャリア)によって統治されてきた国、サウジアラビア。かつてこの国は、他の宗教や西洋の文化に対して分厚い壁を築き、国民の生活は「宗教警察(ムタワ)」による徹底した監視の下に置かれていた。

女性が髪を少しでも見せたり、規定通りにベールを着用していなかったりすれば、路上で突然宗教警察に連行されることも日常茶飯事だった。しかし今、この強固な要塞のような国に、建国以来かつてないほどの巨大な地殻変動が起きている。

その引き金となったのが、政府が約10年前に打ち出した国家プロジェクト「ビジョン2030」である。石油依存からの脱却と社会の近代化を目指すこの大胆なイニシアチブは、サウジアラビアの経済と社会構造を根底から作り変えつつある。

現在のサウジアラビアは、10年前とは「まるで別の国」のように変貌を遂げたという。最も象徴的な変化は、人々に恐怖を与えていた宗教警察の権限が大幅に剥奪されたことだ。さらに、女性が車の運転を許可され、男性保護者の同伴なしで旅行できるようになった。これらはかつて、コーランの教えに基づく絶対的な法律として国民を縛り付けていたものだった。

この社会的な劇的変化は、単なる生活の利便性の向上にとどまらず、サウジアラビアの人々の心の中に、極めて重要な「霊的な問い」を生み出している。「かつては絶対に変えられない神の教えだと言われていたものが、政府の方針一つで次々と変わるなら、コーランの教えとは一体何なのか。時代を超えて決して変わることのない、本当に信頼できる真理は、どこにあるのだろう」。長年彼らを縛り付けてきた宗教的基盤への純粋な疑問が、真の神を求める「霊的な飢え渇き」へと変わり始めている。

さらに、政府は西側諸国との関係強化と観光客の誘致に力を入れており、驚いたことに、国内に点在する「聖書の史跡」へのアクセスを整備し始めている。イスラエルの民が紅海を渡った場所や、モーセが岩を打って水を出したとされる場所へ向かう巨大なハイウェイが建設されているのだ。

政府は、そこを訪れる多くの観光客がキリスト教徒であることを十分に理解した上で、国境を大きく開き始めた。今後、サウジアラビアの地を踏むキリスト者や宣教師たちにとっては、前例のない機会となるだろう。今この地に赴き、知恵をもって静かに、しかし確実に福音の種をまき続ける働き人が必要とされているのである。

しかし、外国人がこの国で働く自由が拡大したとはいえ、サウジアラビア国民がイスラム教からキリスト教へ改宗することは依然として法律で固く禁じられており、イスラム背景の改宗者(MBB)は、身内からの厳しい迫害と圧力にさらされる。

使徒パウロは言った。

しかし、神に感謝します。神はいつでも、私たちをキリストによる凱旋の行列に加え、私たちを通してキリストを知る知識の香りを、いたるところで放ってくださいます。(Ⅱコリント2:14)

開かれつつあるサウジアラビアの至る所で、キリストの香りを豊かに放つ神の人が必要だ。

スンニ派イスラム教の旗手サウジアラビアのために祈ろう。現在この国で働き、忍耐強く福音の種をまき続けているキリストにある奉仕者たちが守られ、その働きが豊かな実を結ぶように。サウジアラビアの人々の心に芽生えた「変わらない真理への渇望」が、永遠の岩であるイエス・キリストとの個人的な出会いへと導くように。

そして、観光やビジネスなど、あらゆる機会を通してこの国を訪れるキリスト教徒たちが、至る所でキリストの香りを香らせ、救いの実を結ぶように祈っていただきたい。

■ サウジアラビアの宗教人口
イスラム 92・4%
プロテスタント 0・4%
カトリック 4・7%
正教関係 0・3%

◇

石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。