2026年5月9日11時23分

ワールドミッションレポート(5月9日):文字を持たない人々へ「賢明なテクノロジー」がもたらす福音伝道

執筆者 : 石野博

ワールドミッションレポート(5月9日):文字を持たない人々へ「賢明なテクノロジー」がもたらす福音伝道
※ 写真はイメージです。(写真:Yuri A / Shutterstock)

世界の未伝道部族の多くは、文字を読む習慣がない、あるいは文字そのものを持たない口承文化の中で生きている。彼らは伝統的に、物語を語り、歌を歌い、劇を演じ、詩を朗読することで、知識や歴史を代々受け継いできた。

このような豊かな口承の伝統を持つ文化圏に生きる人々に対して、正確にかつ迅速にキリストの福音を届けるには、どうすればいいのだろうか。未伝道部族への宣教団体「スポークン・ワールドワイド(Spoken Worldwide)」の代表であるエド・ウィーバー氏は、「テクノロジーの賢明で配慮ある活用」がその画期的な突破口になると語る。

口承文化の中では、世代が変わるごとに物語の内容が変化していくことがよくある。これは文化を豊かにする上では素晴らしいことだが、「聖書の真理」をそのまま正確に保持し伝えるという点においては大きな課題となる。

ウィーバー氏はこの懸念に対し「オーディオプレイヤーなどの機器を部族社会に導入することに、リスクがないわけではありません。しかし時間がたっても神の言葉が勝手に調整されたり変更されたりしない巨大なメリットがあるのです」と説明する。録音された音声データを用いることで、聖書のメッセージが歪められたり変えられることなく、次世代へと確実に伝達されるのである。

さらに、専門の語り手に依存せずに済むテクノロジーの活用は、福音宣教の働きを劇的に効率化する。ウィーバー氏はこう語る。「例えば、30の聖書ストーリーを制作するのに6カ月かかったとします。もし口頭の語り手だけに頼るなら、専門の語り手がその場にいなければならないため、立ち上げられるグループはせいぜい10か20に留まるでしょう。しかし、録音されたコンテンツがあれば、直後に何百ものグループを生み出すことができるのです」

実際、ある現地のパートナーは、無給で福音を語ってくれる専門の語り手を見つけるのに苦労していたが、「録音された聖書のストーリー」を提供した結果、なんと600人ものボランティアがグループを始めるために名乗りを上げたのだ。そして驚くべきことに、その後の6カ月間で約2千ものグループが立ち上がった。専門的な訓練を受けた語り手が不在でも、テクノロジーの手を借りることで、誰もが神の言葉を分かち合えるようになったのである。

しかし、スポークン・ワールドワイドは、ただやみくもに最新機器を配り歩くようなことはしない。彼らは対象となる部族の文化を破壊しないよう、現地のインフラや生活様式に合わせた慎重なアプローチをとっている。ただ押し入って「こうしなさい」と西洋式のやり方を押し付けるのではなく、現地の人々がアクセスできる技術やインフラに細心の注意を払っているのだ。

電気へのアクセスが限られている地域であれば、ソーラー駆動のオーディオプレーヤーを提供する。もし、住民の大半が既に携帯電話を持っている地域であれば、福音のストーリーが録音されたマイクロSDカードを提供するのだ。また、村全体にテクノロジーをあふれさせるのではなく、村長や主要なリーダーたちの手に機器を委ね、現地のリーダーシップを通じて段階的に展開していくことに重点を置いている。

「最終的に重要なのは、テクノロジーそのものではなく、そこに記録されている『神の言葉』です」とウィーバー氏は結論づける。テクノロジーは単なる伝達手段の選択肢に過ぎない。彼らの働きの中心にあるのは、常にイエス・キリストであり、その真理の言葉なのである。

聖書は言う。

信仰は聞くことから始まり、聞くことは、キリストについてのみことばによるのです。(ローマ10:17)

雨に濡れて捨てられたたった一枚のトラクトを拾って読み、それで救われた者がいる。福音の真理には人を救う力があるのだ。

口承文化の人々に向けた宣教のために祈ろう。現地のパートナーと共に働く「スポークン・ワールドワイド」のリーダーたちが守られ、その働きが豊かな実を結ぶことができるように。口承文化圏にテクノロジーを持ち込む際、彼らに特別な配慮の知恵が与えられるように。

そして、提供されたオーディオプレーヤーやSDカードを通して、神の言葉が正確に伝わり、いまだ文字を持たない未伝道の人々の心にキリストの福音が力強く届くよう祈っていただきたい。

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石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。