
政府が「防衛装備移転三原則」の運用指針を改定し、武器輸出を非戦闘目的に限定してきた「5類型」を撤廃したことを受け、日本キリスト教婦人矯風会は28日、撤回を求める抗議声明を発表した。声明は「いのちを守るという倫理に反します」と政府の方針転換を強く批判している。
声明は、冒頭に憲法前文を引用した上で、戦争に加担した過去への反省から、憲法の理念に沿い、武力によらない社会の実現を目指してきた矯風会の戦後の歩みを回顧。政府が殺傷能力を持つ武器の輸出を個別審査で可能とする方針へ転換したことについて、「平和国家としての歩みを根底から揺るがす重大な政策転換であり、決して認めることはできません」としている。
特に、これまで武器輸出の歯止めとなってきた5類型が撤廃され、戦闘機やミサイルなどの輸出が事実上解禁されることに対しては、「いのちを守るという倫理に反します」と強調。国家安全保障会議による審査や紛争当事国への原則輸出禁止が示されてはいるものの、「特段の事情」による例外を認める仕組みでは「実効性ある歯止めとは言えません」としている。
また、国会が輸出の決定に直接関与できず、事後報告を受けるのみとなっていることについては、国会による実質的な統制が及ばず、「民主的な監視として極めて不十分」と批判した。さらに、武器輸出の拡大は「国際社会における日本の信頼を損ない、地域の緊張と軍拡競争を助長します」と指摘。産業構造に「死の商人」と呼ばれる利害が入り込むことは、「被害を受ける人々のいのちを顧みないという姿勢の表明」だとした。
日本の武器輸出は、佐藤栄作内閣が1967年、共産圏、国連決議による禁輸国、国際紛争の当事国などへの武器輸出を認めないとする「武器輸出三原則」を提示。76年には対象地域以外への輸出も控えるとして、事実上の全面禁輸となった。その後、2014年に第2次安倍晋三内閣が防衛装備移転三原則へと改め、一定の条件下で輸出を認める方針に転換した。
5類型は、14年の運用指針で輸出可能な装備品の用途を「救難・輸送・警戒・監視・掃海」に限定したもので、殺傷能力のある武器の輸出を実質的に阻む歯止めとして機能してきた。政府は今回の改定で5類型を撤廃。新たな運用指針では、装備品を殺傷・破壊能力の有無により「武器」と「非武器」に分類。武器の輸出は、防衛装備品・技術移転協定の締結国に限定し、米国やオーストラリアなど現時点で17カ国が対象となる。