2026年4月28日11時39分

ワールドミッションレポート(4月28日):キルギス 国家の監視と村の排斥─イスラム社会で二重の重圧に耐える信者たち

執筆者 : 石野博

ワールドミッションレポート(4月28日):キルギス 国家の監視と村の排斥─イスラム社会で二重の重圧に耐える信者たち
キルギスの首都ビシュケク(写真:Aitenir / CC0 1.0)

美しい山々に囲まれた中央アジアの国がキルギスだ。オープンドアーズの最新の「ワールド・ウォッチ・リスト」で40位にランクインしているこの国では、キリスト教徒たちは「独裁的な国家による統制」と「イスラム教社会からの圧力」という二重の重圧の下での信仰生活を強いられている。

第一の圧力は、政府からの監視だ。キルギス政府は、イスラム過激派の台頭を防ぐことを名目に、全ての宗教活動に対して厳格な統制を敷いている。歴史的なロシア正教会はある程度容認されているものの、福音派やプロテスタントの教会は政府から「疑わしい外国の影響」と見なされることが多い。教会の公式な登録は極めて困難であり、未登録のまま集会を開けば、警察の家宅捜索や罰金、指導者への尋問といったリスクが常に付きまとうことになる。

第二の、そしてさらに深刻な圧力は、イスラム教の強い国々では共通の課題なのだが、地域社会や家族からの迫害である。人口の約90パーセントをイスラム教徒が占めるこの国において、イスラム教からキリスト教へ改宗した人々(MBB)は、最も過酷な状況に置かれている。彼らは「キルギス人のアイデンティティーと伝統を裏切った」と見なされ、家族から勘当され、村のコミュニティーから村八分にされるだけでなく、時には深刻な身体的暴力を受けることもある。

この地域社会からの排斥が、最も悲痛な形で現れるのが「埋葬」の時だ。キルギスの農村部では、キリスト教に改宗した信者が亡くなった際、地元のイスラム教の指導者(イマーム)や村人たちが、公共の墓地や先祖代々の墓地に遺体を埋葬することを強硬に拒否する事件が頻発している。

深い悲しみの中にある遺族は、愛する家族を埋葬するためだけに、遺体を乗せて何十キロも離れた別の村やキリスト教徒用の墓地を探し回らなければならない。愛する人を亡くした悼みに加えて、残酷な精神的苦痛を強いられているのだ。

キルギスのために祈ろう。政府の監視や不当な法規制の下でも、教会の指導者たちが恐れることなく、知恵をもって福音を伝え、群れを牧会し続けることができるように。イスラム教から改宗し、家族や友人から見捨てられ、孤独や暴力の恐怖と戦っている信者たちの上に、神の強力な慰めと守りがあるように。

そして、愛する家族を失った悲しみの中で、理不尽な「埋葬の拒否」という試練に直面している遺族たちに、主の特別な平安と具体的な助けが備えられるよう祈っていただきたい。

■ キルギスの宗教人口
イスラム 88・7%
プロテスタント 0・8%
ロシア正教 4・2%
カトリック 0・01%

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石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。