2026年3月29日17時13分

ワールドミッションレポート(3月29日):カタール 厳格なイスラム法と秘密の改宗者たち

執筆者 : 石野博

ワールドミッションレポート(3月29日):カタール 厳格なイスラム法と秘密の改宗者たち
カタールの首都ドーハ(写真:Alex Sergeev / CC BY-SA 3.0)

アラビア半島に位置する絶対君主制の豊かな国がカタールだ。毎年オープンドアーズが発表している「ひどい迫害国ランキング50」のワールド・ウォッチ・リストでは、44位に位置している。この国で今、教会の存立を脅かしているのが「厳格なイスラム法による統制」と「親族・コミュニティーからの圧力」という、逃げ場のない2つの圧力だ。

第一の脅威は、社会のあらゆる側面を統制しようとする政府の厳格な体制だ。カタールはワッハーブ派スンニイスラム教とシャリア(イスラム法)の厳格な遵守を国家のアイデンティティーとしており、宗教活動全般を厳しく制限している。

その実態は、単なる嫌がらせの域を超えている。人口の約88%を占める外国人労働者の中には、多くのキリスト教徒がいる。彼らに許可された礼拝場所は、ドーハ郊外の宗教施設に限られており、常にスペース不足に悩まされている。さらに、イスラム教徒への伝道は厳格に禁じられており、発覚すれば起訴され、国外追放などの厳しい処罰を受けることが日常化している。

第二の、そして最も個人的で深刻な脅威は、家庭や地域社会という密室で起きている。イスラム教からキリスト教へ改宗した者(MBB)は、家族や地域社会から最も激しい迫害を受けることになる。

カタール社会において、イスラム教を捨てることは、当局によって法的に認められず、財産権や身分証明などの深刻な法的問題を引き起こしている。そのため、改宗したカタール人は家族によって自宅に軟禁されたり、共同体から追放されることも珍しくない。また、外国人労働者の改宗者も、劣悪な労働環境の中で同郷のコミュニティーから激しい敵意にさらされる。

多くの改宗者が、身の安全のために自らの信仰を完全に隠して生きざるを得ないのが実情だ。これらの近しい者たちからの迫害は、厳格なイスラム教社会や異教社会で見られる同じ傾向だ。

しかし、このような厳しい試練の中にあっても、カタールの教会は静かに成長を続けている。2025年1月には、福音派教会同盟(ECAQ)が129の会衆に仕えるための新たな教会の建設を開始した。さらに、アラビア半島全域で起きているように、この国でも多くの人々が「夢」や「幻」を通して奇跡的にイエスに出会っているのだ。

カタールのために祈ろう。厳格な宗教法の下で重圧に耐えながら外国人コミュニティーに仕える教会やリーダーたちが、聖霊による新たな力を得て守られるように。秘密裏に信仰を守っている改宗者たちが逮捕や危害から守られ、安全に交わりを持てる場所が与えられるように。迫害の中にあるカタールの信者たちの忠実な証しや、夢や幻を通じた超自然的な働きによって、政府や王室の心にまでキリストの福音が届き、真の自由がもたらされるよう祈っていただきたい。

■ カタールの宗教人口
イスラム教 65・5%
ヒンドゥー教 15・9%
キリスト教 13・7%
仏教 3・8%

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石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。