2026年3月28日11時14分

サラ・ムラリー第106代カンタベリー大主教着座式に約2千人が参列、公的職務を開始へ

サラ・ムラリー第106代カンタベリー大主教着座式に約2千人が参列、公的職務を開始へ
第106代カンタベリー大主教としての着座式で説教をするサラ・ムラリー大主教=25日(写真:ランベス宮殿)

1月末に英国国教会の第106代カンタベリー大主教に就任していたサラ・ムラリー大主教(63)の着座式が25日、英イングランド南部カンタベリーのカンタベリー大聖堂で行われた。

カンタベリー大主教は、英国国教会の首座主教であるとともに、世界160カ国・地域以上に広がる各聖公会で構成されるアングリカン・コミュニオン(全世界聖公会)のトップでもある。カトリックの時代を含め、女性がカンタベリー大主教に就くのは1400年余りの歴史で初めて。

ムラリー大主教の選出は、昨年10月に発表された。その後、今年1月末にロンドンのセントポール大聖堂で行われた選出確認式で、正式に就任。今回の着座式を経て、公的職務を開始することになる。

着座式には約2千人が参列した。チャールズ国王の代理として出席したウィリアム皇太子とキャサリン皇太子妃、キア・スターマー首相をはじめとする英国内の要人、アングリカン・コミュニオンを構成する42管区(聖公会)の代表者、カトリック教会や正教会など他教派の代表者らが出席した。

ムラリー大主教は説教(英語)の冒頭、受胎告知の場面で天使ガブリエルがイエスの母マリアに告げた言葉「神にできないことは何一つない」(ルカ1:37)を引用。先人たちの信仰の旅路や、10代でイエスに従う決意をした自らの歩みに思いをはせつつ、思いもよらない神の召しに、「ここに私がおります」と応じたマリアの信仰を語った。

「教会として、私たちは巡礼の民です。そして、たとえこの世界に希望を持つことさえ不可能に思えることが数多くあるとしても、マリアのように、神にとって不可能なことは何もないと信じるよう召されています」

「希望があるのは、私たちがこの旅路を『神と共に』歩んでいるからです。私たちはこの召命の重荷を自らの力で負うのではなく、ただ神の恵みと力によって負うのです」

ムラリー大主教は元看護師で、1999年には当時最年少の37歳で、英政府の看護分野における最高位の顧問的立場にある看護長官に抜擢され、約5年務めた経歴を持つ。その傍ら、98年から神学校で学び始め、2001年に執事、02年に司祭叙任。15年に主教として按手(あんしゅ)を受け、エクセター教区の補佐主教であるクレディトン主教に就任。18年から、英国国教会で第3位の職位にあるロンドン主教を務めていた。

ムラリー大主教の就任は、前任のジャスティン・ウェルビー大主教(70)の辞任に伴うもの。ウェルビー大主教は、教会関係者の男性(故人)が50年近くにわたり、計約130人の少年や青年らに虐待を繰り返していた事件を巡り、適切な対応を怠ったとして批判を受け、昨年1月に辞任していた。

ムラリー大主教は説教の中で、「私たち自身のキリスト教共同体の中の人々の行動、不作為、あるいは失敗によって傷つけられた人々の痛みを、見過ごしたり軽視したりしてはなりません」と、教会内の虐待にも言及。「今日、そしてこれからも、私たちは被害者と生存者を心に留め、祈りをささげ、真実、思いやり、正義、そして行動への決意を貫き通さなければなりません」と述べた。

ムラリー大主教に対しては、融和的で経験豊富な指導者として、英国国教会やアングリカン・コミュニオンに安定をもたらしてくれると期待する声がある。一方、LGBT(性的少数者)への対応などを巡り批判的な立場を取ってきた聖公会の保守派グループ「世界聖公会未来会議」(GAFCON)は、昨年10月の選出発表後、カンタベリー大主教の権威などを否定し、新たに「グローバル・アングリカン・コミュニオン」を設立すると宣言。今年3月初めには、「世界聖公会評議会」を新たに組織し、その下で運営していくことなどを決めている。

■ サラ・ムラリー第106代カンタベリー大主教の着座式(英語)