
北朝鮮の分厚い鉄の扉の向こう側から、一つの「奇跡の生還」のニュースだ。
朝鮮族中国人の張(ジャン)文斯執事(仮名)は、中国国境地帯で飢えと寒さに苦しむ脱北者に食料や医薬品を提供し、キリストの福音を伝える宣教に従事していた。しかし2014年11月、川岸で待機中に中国側から拉致された。彼は「体制中傷」や「国家転覆扇動」といった罪を着せられ、懲役15年の過酷な判決を受けた。
それから11年。宗教的理由で捕らえられた外国人が早期釈放されることは極めて稀(まれ)だが、2025年11月、彼は恩赦によって釈放された。
しかし、自宅に戻った彼の姿は、11年間にわたる壮絶な苦悩を物語っていた。奥歯以外の全ての歯を失い、飢餓状態のように痩せ細り、肌は乾燥して硬くなり、髪は真っ白に変色していた。かつての活力を取り戻すまでには、数週間の療養を要するほどの衰弱ぶりだった。
獄中の彼が最も案じていたのは、自らの逮捕によって家族が信仰を捨ててしまったのではないか、という点だ。しかし、体力を回復して教会へ向かった彼は、家族が一人も主から離れることなく、11年間絶えず祈り続けていた事実を知る。この再会こそが、彼にとって最大の喜びと感謝の源となった。
だが、試練は今も続いている。帰国後も中国当局による定期的な尋問が続いており、心身の回復を妨げる要因となっている。
彼の生還は、暗闇の中に輝く希望の光である。しかし北朝鮮には今も、キム・ジョンウク、キム・クッキ、チェ・チュンギルといった宣教師をはじめ、多くの兄弟姉妹が収容所につながれている。聖書を所持しているだけで捕らえられている信者の数は、5万人から7万人に上ると推測される。
絶望的に見える場所でも、神に不可能なことはない。張執事とその家族の忍耐は、最も暗い状況にあっても祈りが届くことを証明した。
張執事の完全な癒やしと安全、そして今も鉄格子の向こうで信仰を守る数万の聖徒たちに、主の解放と慰めが豊かに注がれるよう祈っていただきたい。
■ 北朝鮮の宗教人口
無神論 69・3%
プロテスタント 1・3%
カトリック 0・1%
土着宗教 15・5%
仏教 0・4%
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