2026年3月4日10時02分

ワールドミッションレポート(3月4日):オーストラリア 「全部、神様がしてくれた」─家族を救うため4時間泳いだ13歳の少年

執筆者 : 石野博

ワールドミッションレポート(3月4日):オーストラリア 「全部、神様がしてくれた」─家族を救うため4時間泳いだ13歳の少年
オーストラリア西部のコテスロービーチ(写真:Michael Spencer / CC BY 2.0)

「超人的だ」。救助隊員たちがそう驚嘆した奇跡の生還劇の裏には、一人の少年の必死の祈りと、目に見えない神の御手があった。

今年1月末、西オーストラリア州のクインダラップ・ビーチ沖で悪夢のような出来事が起きた。13歳のオースティン・アペルビー君は、母親、12歳の弟、8歳の妹と一緒にパドルボードやカヤックを楽しんでいた。しかし、突然の強風と荒波によって、一家は岸から約3・7キロ以上も沖合へと流されてしまったのである。家族は自力で岸に戻ることができず、冷たい海の上での8時間以上にも及ぶ漂流が始まった。

事態を打開するため、オースティン君は自らカヤックに乗って助けを呼びに岸に向かった。しかし途中でカヤックが浸水し、使えなくなってしまったのだ。残された距離は約2海里(約3・7キロ)。日が暮れ、冷たい海の中で死の恐怖が迫る中、彼は究極の決断を下す。着ていたライフジャケットを脱ぎ捨て、身一つで岸に向かって泳ぎ始めたのだ。

荒れる波の中、体力を奪われながらの孤独な遠泳だ。波にのまれそうになりながら、クロール、平泳ぎ、背泳ぎを交えて必死に泳ぎ続けた。最終的に彼が岸にたどり着き、救助を要請するまでにかかった時間は、4時間だった。岸にたどり着いた後も、そこからさらに約1・6キロも走り、ようやく電話を見つけて緊急通報を行ったのだ。

彼の決死の行動により、8時間以上もパドルボードにしがみついて漂流していた母親と弟妹は、奇跡的に全員無事で救出された。救助を待つ間、母親のジョアンさんは「時間がたち過ぎている。息子はもう生きていないかもしれない」と、何度も不吉な思いが頭をよぎったという。

メディアはこぞってこの13歳の少年を「ヒーロー」として書き立てた。しかし、後にニュース番組のインタビューに応じたオースティン君の口から出たのは、自分の力ではなかったという告白だった。

「僕がやったとは全く思っていません。最初から最後まで、全部神様がしてくださったんです」

4時間もの間、どうやって泳ぎ続けることができたのか。彼は冷たい海の中で、「今日は死なない、今日は絶対に死なない」と自分に言い聞かせ、ひたすら賛美歌を歌い、楽しいことを考え、そして祈り続けていたと明かした。「ずっと祈り続けていました。そして神様に言ったんです。『もし助けてくれたら、僕は洗礼を受けます』と」

救出後、水上警察当局者は「13歳の少年の行動は称賛に値します。彼の決意と勇気が最終的に母親ときょうだいの命を救ったのです」と語った。医師によると、この超人的な泳ぎをこなすには、マラソン2本分の負担がかかるという。極度の負担から足を回復させるため、しばらくの間、松葉杖が与えられた。

オースティン君は、自分が助けを呼ぶのが遅れて家族が死んでしまったのではないかという不安と罪悪感にさいなまれた瞬間もあったという。しかし、神は彼の祈りに答え、家族全員の命を完全な形で守られた。その週末の日曜日、オースティン君の姿が教会にあったのは言うまでもない。

絶体絶命の海の中で13歳の少年を支えたのは、見えない神の御手だ。まさにその御手は、海難事故という最悪の事態を用いてアペルビー家をご自身に引き寄せられる愛なる神の御手だったのだ。この事故はアペルビー家にとって、神がおられ、神が一家の命を救ってくださった、決して忘れることのできない記念碑的な出来事となったに違いない。

「わがたましいよ。主をほめたたえよ。主が良くしてくださったことを何一つ忘れるな」(詩篇103:2)

この「生還の証し」が、オーストラリアの多くの人々に神の生ける力を伝え、人々を信仰に導くものとして用いられるように祈っていただきたい。

■ オーストラリアの宗教人口
プロテスタント 12・6%
カトリック 25・0%
イスラム 2・5%
無神論者 23・2%

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石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。