
米国とイスラエルが2月28日に実施した軍事攻撃により、イランの最高指導者であるアリ・ハメネイ氏(86)が死亡したことを受けて、世界のキリスト者が、イランの新たなより良い未来のために祈っている。
国際キリスト教迫害監視団体「オープンドアーズ」は、イラン政府による弾圧の終結と、「特に信教の自由を中心とした新たな自由の時代」の始まりを祈るとし、これらは「イエスの福音が(イラン)全国に爆発的に広がる扉を開くでしょう」としている。
オープンドアーズのイラン専門家は、ハメネイ氏の死は「イランの歴史において重大かつ厳粛な瞬間を示すものだ」と指摘。「イラン人キリスト者として、ハメネイ氏の指導の下、イランの教会が何十年にもわたり、厳しい圧力にさらされ、制限、監視、逮捕、そして常に重くのしかかる不確実性に直面してきたことを無視することはできません」と述べた。
「多くの忠実な信者たちは、ただキリストに従うことのためだけに苦しみに耐えてきました。しかし、困難の中にあっても、教会は粘り強く祈りをささげ、希望に深く根ざしてきました。今、私たちが求めているのは、復讐(ふくしゅう)や勝利ではなく、異なる未来の可能性です。良心の自由、尊厳、そして正義が、信仰や生い立ちにかかわらず、全てのイラン国民に与えられる未来です。この転換点が、わが国に平和、和解、そして真の自由への道を開くことを祈っています」
迫害のために国外に逃れたイラン人キリスト教改宗者の女性は、「祖国に帰れることを期待している」と語った。その上で、「このイランにとって変化の時期に、神が平和をもたらし、中東全体を守ってくださいますように」と続けた。
イランにおける信教の自由の推進と保護を目的に活動する英団体「アーティクル18」は、ハメネイ氏の死亡を受け、ホームページに記事(英語)を掲載。ハメネイ氏の名は「(イラン)国内の流血や海外のテロ活動」「国内の宗教的少数派や反体制派の弾圧」と結び付いていると述べた。
ハメネイ氏の時代、イランのキリスト教徒は幾度となく逮捕・投獄されてきた。ハメネイ氏は2010年、中部の宗教都市コムで、前年に起こった全国規模の反政府デモに対する弾圧を正当化する演説を行った。この中で、「イスラム教の敵」が、イランの宗教を弱体化させるため、「無法をまん延させ、偽りの神秘主義を助長し、バハイ教を推進し、家の教会を拡大している」などと主張した。
アーティクル18は、「このヘイトスピーチの後、キリスト教徒、特にキリスト教改宗者を含む宗教的少数派に対する圧力が強まったことを、複数の人権団体が報告しています」と指摘。「その後の一連の逮捕、重い懲役刑、イスラム教回帰への圧力、そしてキリスト教徒の集会所の閉鎖は全て、『家の教会』を宗教的現象ではなく、外部の敵が構築したものだと見なす同じ安全保障観に基づくものと見なすことができます」としている。
アーティクル18が、オープンドアーズ、世界キリスト教連帯(CSW)、中東コンサーン(MEC)と協力してまとめ、2月に発表した報告書(英語)は、イランでは昨年、キリスト教徒に対する迫害が激化し、キリスト教徒がますますスケープゴート化していると警告している。
この報告書によると、信仰や宗教的活動を理由にイランで逮捕されたキリスト教徒の数は、2024年の139人から、25年は254人とほぼ倍増した。また、投獄、国外追放、強制労働の対象となったキリスト教徒の数も25人から57人に増加した。
オープンドアーズのイラン現地パートナーの男性は、イランのための緊急の祈りを呼びかける記事(英語)の中で、次のように述べている。
「イラン人として、そしてキリスト者として、私は重い心で話します。私は戦争を称賛しませんし、イランやイスラエル、そしてこの地域の一般家庭に戦争がもたらす苦しみを軽視もしません。全ての命は神の前に尊いのです。
しかし、イラン人として、私はまた、何世代にもわたって私たちの心に宿ってきた自由への深い渇望を無視することはできません。この痛ましい瞬間が、正義と真の自由への転換点となるならば、それがさらなる破壊ではなく、尊厳と希望、そして平和の回復につながることが、私の祈りです。
キリストに従う者として、私たちは、罪なき人々の保護を、指導者たちの自制を、そしてイランとこの地域が、恐れることなく自由を享受できる未来を祈ります。神が暗闇から光を、混乱から平和をもたらしてくださいますように」
米福音派ネットワーク「ゴスペルコアリション」は、フェイスブックへの投稿(英語)で、「罪なき一般市民の命の保護」「平和と紛争の迅速な解決」「政治指導者への知恵と社会的弱者の保護」などを祈りのトピックスとして列挙。また、この時が伝道や信教の自由の扉を開く機会として用いられるように祈るようにも求めている。
米福音派ロビー団体「ファミリー・リサーチ・カウンシル」(FRC)のトニー・パーキンス会長は、自身のX(旧ツイッター)への投稿(英語)で、米国の行動は「必要かつ正当」だとしつつも、今は祝うべき時ではなく、祈るべき時だと述べた。
「イランのイスラム政権は、イスラエルやその他の平和を求める国々にとって深刻な脅威となっていました。しかし、信仰者にとって、今は祝うべき時ではなく、とりなしの祈りをささげるべき時です。拳を振り上げるのではなく、ひざまずく時です。私たちの指導者たちとイランの人々のために祈らなければなりません。
私たちの指導者たちは、地政学的、軍事的な現実をよく理解しています。しかし、聖書はより深い力が働いていることを、私たちに思い起こさせます(ダニエル書10章)。目に見える紛争の背後には、目に見えない形で出来事を形作る霊的な砦(とりで)がしばしば存在します。
私は、トランプ大統領が正しい決断をしたと信じています。しかし、表面的に見えている以上のことが起こっています。これから先は複雑で厳しい日々になるかもしれません。ここに教会が果たすべき明確かつ不可欠な役割があります。すなわち、祈りのうちに立ち、神の知恵と守りを求め、霊的な識別力と揺るぎない信仰をもって、天における戦いに臨むのです」
オーストラリアのキリスト教保守派団体「オーストラリア・クリスチャン・ロビー」は、フェイスブックへの投稿(英語)で、次のように述べた。
「イランは極めて重要な局面を迎えています。米国はイランの核能力の脅威を取り除き、邪悪なイスラム政権を解体するために断固たる行動を取りました。
(イランの)最高指導者(ハメネイ氏)と軍高官は数十年にわたり、キリスト教徒への激しい迫害を含む深刻な人権侵害を行ってきました。イランのキリスト教徒の推定99パーセントは、イスラム教からの改宗者で、政権はこれを『背教』と呼んでおり、死刑に処される可能性があります。
オーストラリアではイラン人が街頭に出て、女性を抑圧し、反対派を暴力的に弾圧し、自由を制限した抑圧的な政権の終焉(しゅうえん)を祝っています。専制政治の完全な解体、そしてイラン国民の安全、安心、自由、繁栄のために祈り続けましょう」