2026年3月1日21時19分

ワールドミッションレポート(3月1日):アフガニスタン タリバン政権下の「違法」な教会②

執筆者 : 石野博

ワールドミッションレポート(3月1日):アフガニスタン タリバン政権下の「違法」な教会②
2020年当時の大統領府(写真:米国防総省)

2021年8月、米軍の突然の撤退。それはアフガニスタンのキリスト教徒にとって、悪夢の始まりだった。(第1回から読む)

「朝起きると、世界が変わっていました」。元ムスリムのキリスト教徒ラマザン・ラフィーは、タリバンがカブールを制圧した日のことを振り返る。「タリバンが進駐してきたときは、映画のような大混乱でした」

彼は妻と子どもたちを抱きしめ、キスをし、「今日が私たちにとって最後の日になるかもしれない」と告げた。彼らは直ちに携帯電話やパソコンから、キリスト教に関する全てのリソースを削除した。デジタルデータ一つが、死刑執行の証拠となるからだ。

ある牧師が車で彼らを迎えに来たが、どこへ逃げればいいのか誰にも分からなかった。空港へ向かったが、自爆テロの爆発により、出国は阻まれた。それから36日間、彼らは当局の追跡を逃れ、隠れ家を転々とする逃亡生活を余儀なくされた。

「最後の米軍機が飛び去ったとき、『これで終わりだ。神は私たちがここで死ぬことを望んでおられる』と思いました」

絶望の中で彼が祈ったのは、助かることではなく、慈悲深い死に方だった。「主よ、タリバンが私たちを捕らえるとき、私だけを殺して妻子を連れ去るようなことがありませんように。どうか、私たち全員を一度に撃ち殺してください」

女性や子どもが奴隷とされるよりは、一思いに殺された方が苦しみが少ないと思ったのだ。それほどまでに彼らにとっては極限の状況だった。

押しつぶされそうな不安と恐怖の中で、ラマザンは祈り、神と格闘した。しかし驚くべきことに、神はその混沌の中で彼に不思議な平安を与えたという。36日目のこと、突如としてセキュリティーチームが現れ、彼らを車に乗せて北部国境へと向かった。

9つの検問所を奇跡的に通過し、その後、彼らはカタール行きの飛行機に乗り、無事に脱出したのである。カタールのドーハの地を踏んだとき、ラマザンは思わず詩篇18篇を口ずさんでいた。「主はわが巌(いわお)、わが砦(とりで)、わが救い主……」

ラマザンや多くの兄弟姉妹は国外へ脱出したが、今もアフガニスタンには多くの信者が残り、地下深く息を潜めて信仰を守っている。「アフガニスタンでキリスト者であることは、かつてないほど危険です。しかし、それでも人々はキリストのもとに来ています」

そう語るのは、宣教団体ラディカルのジェイミー・ディーン氏だ。「聖霊がただ、動いておられるのです」

タリバン政府は「国内にキリスト教徒はいない」と宣言している。しかしその足元で、教会は確かに生きている。冷酷な恐怖支配といえども、人の心にともった福音の喜びと光を消すことはできない。

アフガニスタンのために祈ろう。地下に潜る兄弟姉妹が、神の超自然的な守りによって隠されるように。恐怖の中にある彼らに、聖霊の慰めと励ましが豊かに注がれるように。そして、ラマザンのように国外へ逃れた難民たちが、それぞれの場所で宣教の器として用いられるように祈っていただきたい。

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■ アフガニスタンの宗教人口
イスラム 99・85%
キリスト教徒 0・05%
ヒンズー 0・01%

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石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。