2026年2月19日10時33分

ワールドミッションレポート(2月19日):チュニジア 古代教父の地、希望への渇き

執筆者 : 石野博

ワールドミッションレポート(2月19日):チュニジア 古代教父の地、希望への渇き
チュニジアの首都チュニス(写真:Dacoslett / CC0 1.0)

北アフリカの地中海沿岸に位置するチュニジア。古代カルタゴの遺跡や白い砂浜で知られるこの美しい国は、2010年末に始まった「ジャスミン革命」(アラブの春)の発火点として世界にその名を知らしめた。独裁政権を倒し、民主化への道を歩み始めたこの国は、北アフリカ諸国の中では比較的世俗的で、女性の権利も進んでいるとされる。

しかし、「春」と名の付く革命だったが、国民生活に真の春をもたらしたわけではない。経済の停滞、高い若年失業率、そして政治的混乱は続いており、多くの若者が将来への希望を見失い、閉塞感の中にいる。しかし「失望」は、失望のための失望に終始しているわけではない。それは人々の心に霊的な渇きを起こさせる土壌となっているのだ。

歴史をひも解けば、チュニジアはかつてキリスト教世界の中心地の一つであった。アウグスティヌス、テルトゥリアヌス、チプリアヌスといった偉大な教父たちを輩出し、ラテン神学の基礎を築いた土地である。7世紀以降のイスラム化によってその血脈は途絶えたかに見えた。しかし数世紀の時を経て、今再び、古代の種が芽吹き始めている。

現在、チュニジア国民の99%以上はイスラム教徒である。しかし、近年では衛星放送やインターネットを通じて福音に触れ、イエス・キリストを受け入れる若者が増えている。彼らの中には、「キリスト教は西洋の宗教ではなく、自分たちの先祖の信仰だ」という再発見をする者も少なくない。

チュニジアの教会はまだ若く、小さい。信者たちは社会的な圧力や家族からの勘当、職場での差別といった試練に直面している。それでも、彼らは互いにつながり、家の教会で礼拝を守り、大胆に信仰を証しし始めている。北アフリカの中では比較的宗教的寛容さがあるとはいえ、改宗者への風当たりは強い。

ある現地のリーダーは語る。「私たちは数において少数ですが、塩としての役割を果たしたいのです。社会が腐敗し、希望を失っている今こそ、キリストにある希望を示す時です」

チュニジアのために祈ろう。かつてこの地からキリスト教世界の礎を築く霊的巨人が誕生したように、再びチュニジアが北アフリカ宣教の拠点として用いられるように。新しく生まれた信者たちが、社会的な圧力に屈することなく、聖書に根ざした強い弟子として成長できるように。そして、政治的・経済的な困難の中にあるこの国に、真の平和の君であるイエス・キリストの福音が広がるように祈っていただきたい。

■ チュニジアの宗教人口
イスラム 99・4%
プロテスタント 0・02%
カトリック 0・2%
正教会関係 0・01%

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石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。