
中央アジアの広大な草原地帯に位置する世界最大の内陸国がカザフスタンだ。その南東部、万年雪を頂いた天山山脈(現地語で「神の山々」を意味する)の麓に広がる都市アルマトイで昨年、地域の宣教史を塗り替えるような集会が開かれた。
会場の熱気は、単なる若者の集まりとは一線を画していた。集まった500人以上の参加者たちは、医師、弁護士、エンジニア、映画製作者、ビジネスリーダー、教育者など、社会の第一線で活躍する「キリスト教徒の専門家」たちだ。
カザフスタンを中心に、ウズベキスタン、タジキスタン、キルギスなど、信仰を持つことによって社会的な不利や危険が生じる周辺諸国から、彼らは一つの目的のために結集した。それは、職場という「現場」、いわゆるマーケットプレイスで、いかにしてキリストの光を表すかという戦略を共有するためである。
このフォーラム「次世代プロフェッショナル・リーダー・イニシアチブ(Next Generation Professional Leaders Initiative)」を主催した宣教団体「ミッション・ユーラシア」の代表、セルゲイ・ラフバ氏は、この集会の持つ歴史的な意義を熱く語る。
「私たちは今、パラダイムシフトのただ中にいます。かつて旧ソ連時代、キリスト教徒であることは、社会の周縁に追いやられることを意味しました。私の父の世代、そして私が育った時代、キリスト者は高等教育を受けることを許されず、医師や弁護士、教師といった影響力のある地位に就くことは事実上不可能でした。信仰を持つ者は『国家の敵』という烙印(らくいん)を押され、地下に潜るしかなかったのです」
しかし今、ポスト・ソビエトの時代に育った新しい世代は違う。彼らは自由に高等教育を受け、その才能を磨き、社会のリーダー層へと進出している。ラフバ氏は続ける。「私たちは、この若い世代のクリスチャン専門家を動員し、動機づけたいのです。教会の壁を越えて現代社会へと踏み出し、自らの仕事、専門性、影響力、そして職場を、福音を宣べ伝えるための『説教壇』として用いるためにです」
彼らが目指しているのは、日曜日の礼拝だけの信仰ではない。月曜日から土曜日まで、病院で、学校で、法廷で、撮影現場で、オフィスのデスクで、キリストの愛と真理を体現する「ライフスタイルとしての宣教」だ。イスラム教の影響力が強く、政府による宗教統制が依然として厳しいこの中央アジアにおいて、彼らは「世の光、地の塩」として、最も暗い場所、最も届きにくい場所に入り込もうとしている。
参加者の一人、カザフスタンの青年エルジャノフは語る。「私たちはここで新しい人脈を築き、職場において信者としてより効果的に働く方法を学ぶために来ました。単に仕事をこなすだけでなく、文化を変革し、会話の一つ一つを通して世界にインパクトを与えたいのです」
「神の山々」の麓で、彼らはその信仰と決意を新たに、教会の建物の中にとどまるのではなく、社会のただ中へ、それぞれの専門分野という「宣教地」へと出て行く。今、イスラム教の影響が強いこの地域で、静かな宣教の波が起ころうとしているのだ。(続く)
■ カザフスタンの宗教人口
イスラム 58・7%
プロテスタント 0・8%
カトリック 0・9%
正教徒 9・8%
仏教 0・1%
無宗教 33・9%
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