
パリのノートルダム大聖堂に設置が予定されている新たなデザインのステンドグラスに対し、反対の声が上がっている。歴史的なステンドグラスを現代的なデザインのものに変更する試みで、反対者は3日現在、33万人を超える。
ノートルダム大聖堂は、2019年4月に発生した火災で甚大な被害を受けたが、大規模な修復工事を経て、24年12月に一般公開を再開した。出火原因はいまだに特定されていないが、当局は放火や意図的な襲撃によるものだとする主張を一貫して否定している。
取り替えが予定されているのは、大聖堂の南側の6つのステンドグラス。19世紀のフランスの建築家、ウジェーヌ・ビオレ・ル・デュクが手掛けたもので、火災による損傷を免れていた。
しかし、エマニュエル・マクロン大統領は23年12月、このステンドグラスを現代的なデザインのものに変更すると発表。その後、フランス出身で米国を拠点に活動する現代美術家、クレール・タブレさんによる「聖霊降臨」を描いたステンドグラスに取り替えることが決まった。
フランスのカトリック教会当局やパリ大司教ローラン・ウルリッヒも、この数百万ユーロ規模のプロジェクトを支持している。
タブレさんの作品は現在、パリの美術館「グランパレ」で展示されており、年内には大聖堂に設置される予定だ。
ステンドグラスの取り替えに反対するオンライン署名は、フランスの美術専門メディア「ラ・トリビューヌ・ド・ラル」が始めた。署名の募集ページ(英語)では、「(マクロン)大統領は、遺産保護法やパリのノートルダム大聖堂への配慮を全く欠いたまま、ステンドグラスを取り替えることを独断で決定しました」と批判し、次のように述べている。
「惨事を免れたステンドグラスを修復しておきながら、その直後にそれを取り外すことが、どうして正当化されるのでしょうか。(中略)国家元首のものではなく、全ての人のものである大聖堂を造り変える権限を、誰が国家元首に与えたのでしょうか」
タブレさんは、こうした批判に対し、フランス公共ラジオで次のように述べている。
「論争が起こると、多くのうわさも飛び交うものです。ですから、私は大衆に自らの意見を持つ機会を与えたいと考えています」
マクロン氏は署名について、これまでのところコメントしていないが、火災に伴う一連の修復過程において、ノートルダム大聖堂に「現代的なジェスチャー」を施し、「21世紀の刻印」を加えるという主張は数年前までさかのぼる。しかし、フランスの国家遺産建築委員会などは、こうした動きに反対を表明している。