2026年1月1日09時17分

ワールドミッションレポート(1月1日):イラク 今も生きて働く神―絶望の地下牢を征服する福音の光①

執筆者 : 石野博

新しい年が希望に満ちあふれたものとなることを願いつつ、一つの驚くべき信仰の勝利の記録を分かち合いたい。残虐極まりないIS(イスラム国)が、一人のイラク人キリスト者を誘拐した。考え得る最悪の状況の中で、神がどのようにご自身を現されるのか、福音がいかにして敵意と殺意の暴力を征服し、神との和解へと変えてしまうのかを示す生きた証しだ。

以下は、イラク・クルディスタン出身のキリスト者、ジェイコブ・ナザール自身の言葉によるものだ。

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私の名前はジェイコブ・ナザールです。これから私が分かち合おうとしていることは、最悪の恐怖のただ中にあって、神がどのようにご自身を現されるかという生きた証です。全ては2021年6月の暑い朝、イラクのモスル郊外で始まりました 。

その日、戦争のために家を追われたクルド人の家族に薬や食料を届けていた私の足元で、細かい砂漠の砂塵が舞っていました 。私はその地域で3年間、戦争で破壊されたものを再建し、全てを失ったかのように見える人々に小さな希望を届けるために尽力してきました。

西側諸国の多くの人々は、私が死んだものと思っていたようですが、現場で働いている人々は、ISの脅威が消えていないことをよく知っていましたし、ISの潜伏工作員は依然として潜んでおり、いつでも暗闇から現れる準備ができていました。

「信仰の自由はぜいたく品」であるとされる私たちの国では、特定の地域でクリスチャンであることは、自らの死刑執行令状にサインするようなものです。幼い頃から、父は私に勇気を持つこと、そして注意深くあることを教えてくれました。エルビルの自宅の地下室で一緒に聖書を学んだ夜、父が言ったことを決して忘れません。

「いいかい、ジェイコブ。もしも、いつか君が、キリストを否定するか命を失うかの選択を迫られるとき、この人生は私たちを待っている永遠に比べれば、ほんの一瞬に過ぎないということを決して忘れるんじゃないぞ」

この言葉が、私の人生で最も暗い17日間を支えてくれるとは、その時には想像すらしていませんでした。もしあなたが、神は人生の最も暗い谷間でも働くことができるのだろうか、あるいは残酷な迫害に直面して神の真実を疑ったことがあるのなら、この証しはあなたのためのものです。

私は、いかなる暗闇も、テロリストも、脅威も、私たちをキリストの愛から引き離すものは何もないことを証明するためにここにいます。モスル近郊のISの地下牢で、私は人間が耐えられる極限に達していました。生と死の境界線は髪の毛1本ほどに細くなりました。しかしその暗闇の場所こそ、私がかつて感じたことのない力で、神の光が輝いた場所だったのです。(続く)

■ イラクの宗教人口 ※内線前の統計
イスラム 98・6%
プロテスタント 0・2%
カトリック 0・04%
正教会 0・3%

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石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。