2025年12月29日17時42分

ワールドミッションレポート(12月29日):コンゴ民主共和国 決して見捨てない―暴力の連鎖にあらがう福音の光

執筆者 : 石野博

アフリカ大陸の中央部に位置するコンゴ民主共和国(DRC)は、広大な国土と世界有数の鉱物資源を誇りながら、長年にわたる紛争と政治的混乱に翻弄されてきた。特に東部地域では、現在も120を超える武装勢力が乱立し、虐殺や略奪が絶えない。数十年に及ぶ暴力の歴史は、世界で最も凄惨な人道危機の一つを生み出している。

多くの国際的な援助団体が安全確保の困難さから撤退を余儀なくされる中で、この地を「見捨てない」と決意し、活動を継続する人々がいる。その中心にいるのが、リビルダーズ・ミニストリーと、彼らの空の足となる航空支援宣教団体ミッション・アビエーション・フェローシップ(MAF)だ。彼らは混乱が続くDRC東部において、物理的な援助だけでなく、絶望という闇を打ち払う福音の光を運び続けている。

リビルダーズ・ミニストリーのジェームズ・ビエシン牧師は、なぜ危険を冒してまで活動を続けるのかという問いに対し、次のように答える。

「私たちは人々に希望を届けるためにここにいます。イエス・キリストなしには、この地にある憎しみと暴力の連鎖を断ち切ることはできません。多くの人々がこの場所を去りましたが、私たちは彼らを決して見捨てることができません」

現在、DRC東部では国内避難民キャンプが急増しており、人々は極限状態の中で明日をも知れぬ生活を強いられている。こうした中で、リビルダーズ・ミニストリーは現地のリーダーたちと協力し、オーディオバイブルの配布や、トラウマ・ヒーリングのワークショップを展開している。ジェームズ牧師は、福音が人々の心に及ぼす影響についてこう指摘する。

「目の前で家族を殺された人々に『愛しなさい』と説くのは、人間の業ではできません。しかし、彼らが自分の母国語で語られる神の言葉を聞くとき、聖霊が働き始めるのです。憎しみに支配されていた心が赦(ゆる)しと慰めへと導かれる姿を、私たちは何度も目撃してきました。これこそが、この国の再建に必要な真の土台なのです」

また、武装勢力の中には誘拐された少年兵たちも多く含まれている。彼らは加害者であると同時に、社会から見捨てられた被害者でもある。

ジェームズ牧師は、こうした「到達困難な人々」に対しても、MAFの航空支援を受け、福音を届けるたゆまぬ努力を惜しまない。物理的な道路が寸断され、地上からのアクセスが不可能な場所であっても、MAFの支援により、上空から届けられる神の言葉と支援物資が、人々に「神はあなたを忘れていない」という強烈なメッセージを伝えているのだ。

DRCが直面している課題は、疫病、極度の貧困、資源を巡る国際的な利権構造など、あまりにも複雑だ。しかし、ジェームズ牧師は確信をもってこう結んでいる。「暗闇が深ければ深いほど、小さな光はより輝きます。私たちはこの地が、いつか神の栄光に満ちた場所へと回復されることを信じています」

DRC、特に東部地域に真の平和が訪れるように祈ろう。紛争に終止符が打たれ、暴力がやむように。ジェームズ・ビエシン牧師とリビルダーズ・ミニストリー、そしてMAFのスタッフたちが活動の中で守られ、必要なリソースが与えられるように。そして、絶望の中にいる避難民たちがイエス・キリストによって癒やされ、福音によって立ち上がるように祈っていただきたい。

■ コンゴ民主共和国(DRC)の宗教人口
プロテスタント 22・4%
カトリック 50・0%
単立 20・2%
イスラム 1・9%
土着の宗教 5・1%

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石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。