2025年12月20日14時33分

ニカラグア、入国者の聖書の持ち込みを禁止

ニカラグア、入国者の聖書の持ち込みを禁止
ニカラグア入国時の持ち込み禁止品目を列挙する注意書き。聖書(スペイン語で "BIBLIAS" と書かれている)もその一つとして挙げられている。(写真:世界キリスト教連帯=CSW)

中米のニカラグア政府はこのほど、入国者による聖書の持ち込みを禁止した。この規制は、入国時の持ち込み禁止品目を拡大する措置の一環で、対象はその他の印刷物から電子機器にまで至る。

英国に拠点を置く国際人権団体「世界キリスト教連帯」(CSW、英語)によると、中米諸国をつなぐ国際バス「ティカバス」の隣国コスタリカにあるターミナルには、ニカラグア入国時の持ち込み禁止品目として聖書を挙げる注意書きが掲示されている。禁止品目にはこの他、鋭利な物や生鮮食品に加え、新聞、雑誌、書籍、ドローン、カメラが列挙されている。

CSWによると、ティカバスのエルサルバドル事務所は、ニカラグアの首都マナグア行きの乗客は「聖書、新聞、雑誌、あらゆる種類の書籍、ドローン、カメラ」の持ち込みが許可されていないことを認めた。また、ホンジュラス事務所は、この規制は半年以上前から施行されていると述べた。

規制は、ニカラグアが同国への独立した意見や情報の流入を徹底的にコントロールしようとする姿勢を示すものだと見られており、同国で自由と宗教的表現に対する規制が数年にわたり強化されてきた流れに沿うものだ。

ニカラグアでは2018年4月以降、1300以上の宗教団体を含む、5千以上の独立した市民団体が法的地位を剥奪されてきた。また、インクや紙に対する税関規制などメディアへの制限も強化され、19年には有力独立紙「エル・ヌエボ・ディアリオ」が廃刊に追い込まれた。

さらに、政府系団体が主催する場合を除き、公的な宗教的行進を禁止。宗教指導者は恣意的に拘束され、移動が制限され、活動に国家の承認が必要となる事例が複数報告されている。

そのような中、キリスト教会は、独裁色を強めるダニエル・オルテガ政権を公然と批判する数少ない存在の一つであり続けている。

18年の年金改革反対大規模抗議活動では、プロテスタントの牧師で、同国西部ヒノテペの「ニカラグアの岩教会協会」の創設者であるパラシオス・バルガス氏を含むキリスト教指導者たちが、学生に対する警察の暴力行為を非難した。しかしその結果、同連合は19年に法人格を剥奪された。

ニカラグア政府はまた、非営利団体に対しても財政的・法的規制を強化してきた。18年の外国資金法により、当局は数千の団体を閉鎖することが可能となり、特に抗議活動家への避難場所を提供していたカトリック系団体が大きな影響を受けた。

ニカラグアは3月、国連人権理事会がオルテガ政権に批判的な報告書を発表したことに反発して、発表の2日後に脱退した。

報告書は、オルテガ政権が民主主義を体系的に解体し、人権を侵害し、信教の自由を標的にしているなどと非難するものだった。調査官の一人であるアリエラ・ペラルタ氏は、ニカラグア政府は「自国民との戦争状態にある」と述べた。一方、オルテガ大統領の夫人でもあるロサリオ・ムリージョ副大統領は、この報告書を「中傷」であり、組織的な誹謗キャンペーンの一環だと主張している。

CSWの報告書「完全支配:ニカラグアにおける独立した声の根絶」(英語)には、集会の中止、警察による監視、宗教指導者に対する毎週の強制的な立ち入り調査など、昨年1年間に222件の宗教的迫害事例があったことが記録されている。また、同年には46人の宗教指導者が拘束されたとも指摘しており、一部は速やかに釈放されたものの、長期にわたり拘束された者もいるとしている。

CSWのアドボカシー担当ディレクターで南北米大陸チームリーダーのアンナ・リー・スタングル氏は、宗教関連資料や印刷物の持ち込み禁止措置について、「現在の抑圧状況を踏まえると極めて憂慮すべき」ものだとし、禁止の解除と自由の回復を訴えた。