2025年12月2日18時49分

ニカイア公会議1700周年を記念、開催の地で一致求め祈る 教皇や全地総主教らが参加

ニカイア公会議1700周年を記念、開催の地で一致求め祈る 教皇や全地総主教らが参加
ニカイア公会議(325年)の開催1700周年を記念して行われたエキュメニカルな祈りの集い。集いは、開催の地であるトルコ北西部の都市イズニク郊外にある聖ネオフィトス大聖堂の遺跡近くで行われた。最前列左がカトリック教会のローマ教皇レオ14世で、同右が東方正教会のコンスタンティノープル全地総主教バルソロメオス1世。(写真:コンスタンティノープル全地総主教庁 / Nikos Papachristou)

トルコ北西部の都市イズニクで11月28日、325年に開かれたニカイア公会議の開催1700周年を記念するエキュメニカルな祈りの集いが行われた。

集いには、カトリック教会のローマ教皇レオ14世、東方正教会のコンスタンティノープル全地総主教バルソロメオス1世、世界教会協議会(WCC)のジェリー・ピレイ総幹事らが参加した。イズニクは、ニカイア公会議が開かれた地で、当時はニカイア(ニケア)と呼ばれていた。

参加した教会指導者らは、集いを通じて示されたキリスト教の一致を語った。

レオ14世は、分裂によって傷ついた世界で、キリスト教徒が和解の模範となるよう呼びかけた。

「今こうして、私たちは皆、残念ながら今も存在する分裂というスキャンダルを克服し、主イエスが祈り、その命をささげた一致への願いを育むよう招かれています。今日、暴力と紛争に苦しむ人類全体が和解を求めて叫んでいるのです」

バルソロメオス1世は、世界中に紛争と苦痛がまん延するこの時代に、集いを通じて示された希望について語った。

「私たちは、ニカイアの教父たちが表明した同じ信仰の生きた証しとして、ここに集っています。私たちは、前進するために、キリスト教信仰のこの源流へと立ち返るのです。この場の力は、過ぎ去るものにはなく、永遠に続くものにこそあるのです」

ピレイ総幹事は、イエスが一致のためにささげた祈りが記されているヨハネによる福音書17章を朗読。「父よ、あなたが私の内におられ、私があなたの内にいるように、すべての人を一つにしてください」(ヨハネ17:21)と願い求めるイエスの祈りに心を合わせた。

レオ14世とバルソロメオス1世は共同宣言に署名し、1700年前の公会議と、その現代への持続的意義に感謝を表明した。宣言には次のように記されている。

「この重要な記念の日が、一致に向かう道において、新しく、勇気ある一歩を促すと、われわれは確信する。キリスト教の一致という目標は、あらゆる民族間の平和に、根本的かついのちを与える形で貢献することを含むものである」

その上で、「現在の国際情勢を深く憂慮する」としつつも、「希望を失ってはいない」として、「神は人類を見捨てはしない」と強調している。

ニカイア公会議は、ローマ皇帝コンスタンティヌス1世の召集によって325年に開かれた最初の公会議。公会議は、全キリスト教界から代表者が参加し、教義の決定などを行う最高会議。当時、キリスト教はミラノ勅令(313年)によりローマ帝国から公認されていたものの、教理上の不統一があり、キリストの神性を巡って大きな論争があった。ニカイア公会議はその解決を主な目的として開かれ、三位一体の教理が確立するなどした。この時に採択された基本信条(原ニカイア信条)は、その後381年に改定され、ニカイア信条として現代に至るまで世界中の教会で広く用いられている。

なお、ニカイアでは787年にも公会議が開かれており、第2ニカイア公会議と呼ばれ、325年のものはそれと区別して第1ニカイア公会議とも呼ばれる。