南アジアのバングラデシュで、宣教団体「ファームス・インターナショナル」(FARMS)の提供するローンプログラムにより、小さな家屋が宣教拠点に変えられた。
アルビン牧師の妻のエステル夫人は、古い一軒家を相続した。本来は個人の住まいとして使われるはずの建物だったが、2人はこれを地域に仕えるための宣教拠点へと改装する決断をした。基礎の補強、屋根の修繕、壁の塗り替え、これらの作業は地域の信徒たちの助けによって進められ、家屋は「宣教センター」として新しく生まれ変わった。ゲストルームを備え、来訪する伝道者や支援者を迎え入れる場として、また女性たちの聖書の学びの場所として用いられている。
この証しが示している事柄は、大きく3つある。第一に、経済的資源が宣教のツールに変わる。アルビン牧師はFARMSのローンを、自分たちのためではなく「地域の人々をキリストに導く場所づくり」のために活用した。コロナ禍の時には別の建物を取得し、一部を薬局として貸し出し、残りのスペースを集会所として生かしてきた。それが今では礼拝、聖書の学び、地域奉仕の拠点として広がっている。これは金銭やビジネスが、神の国の働きを支える「土台」になり得る好例である。
第二に、地域に根ざした宣教モデルだ。家屋を宣教センターへ改装したプロセスには、「外部に依存しない、地元から始まる宣教」という理念があった。地元の信徒が共に働き、共に造り上げ、共に支えていく、その結果生まれた場所は、単なる施設ではなく、地域共同体の信仰の家となっていくのだ。
第三に、福音の波及効果だ。FARMSのビジョンは「家庭を強め、教会を強めること」にある。この家屋を拠点とする働きは、まさにその目的を体現している。生活を支える収入、地域に開かれた奉仕、そして福音の前進、その全てが一つに集約される。小さなローンが、やがて大きな収穫を生むのだ。
この証しは、現代の宣教において「経済」と「福音」がどのように協力し合えるのかを教えてくれる。ローン、ビジネス、家屋活用といった日常的な要素が、神の国のために用いられるとき、それは福音の前進を力強く支える武器となる。
このモデルがさらに広がり、世界の教会が「持続可能な宣教のしくみ」を確立していけるように祈ろう。地元の牧師、伝道者、信徒たちが、与えられた資源を大胆に用い、地域に光をもたらす働きが続いていくよう祈っていただきたい。
■ バングラデシュの宗教人口
イスラム 89・0%
プロテスタント 0・5%
カトリック 0・2%
ヒンズー 9・1%
仏教 0・6%
土着の宗教 0・5%
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