
メル・ギブソン監督による「パッション」の待望の続編となる「レザレクション」(仮題、原題:The Resurrection of the Christ)の撮影が始まった。イエス役は、前作で演じたジム・カヴィーゼルが再演する予定だと伝えられていたが、フィンランド人俳優のヤーッコ・オートネンに代わった。
米エンタメ誌「バラエティー」(英語)によると、撮影は10月上旬、ローマの名門映画スタジオ「チネチッタ・スタジオ」で始まった。ギブソン監督は、全世界で6億1200万ドル(約940億円)の興行収入を上げ、史上最も収益の高いインディペンデント映画の一つとなった「パッション」も、同じスタジオで撮影している。
それから20年以上を経ての続編となる「レザレクション」は、ギブソン監督とブルース・デイビー氏設立の映画製作会社「アイコン・プロダクションズ」が、スタジオパートナーのライオンズゲートと共同でプロデュースし、2027年に二部作として公開される予定だ。
マグダラのマリア役は、前作のモニカ・ベルッチに代わり、キューバ人女優のマリエラ・ガリガが演じる。イエスの母マリア役も、以前のマヤ・モルゲンステルンに代わり、ポーランド人女優のカシア・スムトゥニアクが演じる。ペトロ役はイタリア人俳優のピエル・ルイジ・パジーノが、ピラト役は同じくイタリア人俳優のリッカルド・スカマルチョが務める。英国人俳優のルパート・エヴェレットも、「小さな、しかし重要な役柄」で出演するという。
続編の舞台は、キリストの十字架刑から3日後で、前作の舞台と時代は同じ。そのため、製作陣は、前作の撮影から20年以上たっていることを踏まえ、全キャストを一新する決断をした。
製作会社に近い関係者はバラエティー誌に対し、「全キャストを入れ替えるのは理にかなっています。もしそうでなければ、ディエイジング(若返り処理)などのCGに多大な費用がかかることになったでしょう」と語った。
一方、カヴィーゼルは4月、出演したポッドキャスト番組(英語)で、再演の準備ができていると述べ、霊的備えのために、C・S・ルイスの『悪魔の手紙』を読んでいることを明かしていた。
新たにイエス役に抜擢されたオートネンは36歳で、ネットフリックスの歴史ドラマ「ラスト・キングダム」のシーズン5で、戦士ウォランドを演じたことで最も知られている。
「ブレイブハート」の脚本を手がけたランダル・ウォレス氏と、「レザレクション」の脚本を共同執筆したギブソン監督は、この続編を「アシッドトリップ(幻覚体験)」のようだと表現し、脚本について「これまでに読んだことのないものだ」と述べている。プロットの詳細はまだ伏せられているが、物語はイエス・キリストの復活に焦点を当てる。
「レザレクション」のパート1は2027年3月26日の聖金曜日に、続くパート2は同年5月6日の昇天日に、それぞれ公開される予定。撮影は、チネチッタ・スタジオの新設大型スタジオである「スタジオ22」に加え、マテーラやジノーザ、グラビーナ、ラテルツァ、アルタムーラといったイタリア南部の古都のロケ地でも行われる。
アラム語、ヘブライ語、ラテン語で撮影された前作「パッション」は、イエスの生涯の最後の12時間を描き、キリスト教映画の金字塔となった。続編は、その物語が途切れた復活の夜明け後を舞台とすることを目指している。
ギブソン監督は2022年のクリスチャンポストとのインタビュー(英語)で、贖罪(しょくざい)と救い主の必要性を強調する物語に引かれることを話している。
「私は幼い頃から、私たちには欠陥があり、過ちを犯すものだと教えられてきました。私たちは傷ついており、助けが必要です。通常、助けを得る最善の方法は、それを求めることです。では、誰にそれを求めているのでしょうか。私たち自身よりも優れた存在にです。あなたよりも優れた何かが存在することを認めた瞬間、謙虚さのようなものを手にするかもしれません。それこそが、全てを解決する鍵なのです」