ブラジルで今、史上最大の信仰転換が起きている。形式的な宗教から「生ける神との関係」への目覚めだ。家庭集会や賛美のムーブメントが広がり、教会は驚異的な勢いで増えている。(第1回から読む)
ブラジルにおける福音派は、1922年に最初の福音派教会がスタートした。1990年までに、その数は7千教会の会衆に成長した。そして約30年後、その数は11万教会まで増加したのだ。
ある研究によれば、ブラジル全土で毎日17の新しい福音派教会が開設されているという。下院議員マルセロ・クリヴェラ氏は語る。「今、ブラジルには55万の教会があります。55万ですよ!」
数字だけを見れば、これは単に宗教的な転換に見えるかもしれない。しかし、その背後には一体何があるのだろうか。何がこの変化を引き起こしたのだろう。そして、この変化は一体何を意味するのだろう。
リオやサンパウロの郊外では、夜になると数百人の信徒が小さな家々に集まり、聖書を開いて祈る。照明も音響もないが、そこには熱気と涙が満ちている。彼らは生活の苦しみや社会の不安を抱えながらも、「主に頼る信仰」をもって日々を生き抜いている。祈りは街角の教会だけでなく、職場、家庭、学校にまで広がっているのだ。
この国の変革を語る上で、音楽の影響も見逃せない。かつて、サンバやボサノヴァがブラジルを動かしたように、今は「神への賛美」が人々の心を震わせている。福音派アーティストが次々に登場し、ゴスペルがヒットチャートの上位を占めるようになった。若者たちは踊りながら神を賛美し、歌を通して信仰を分かち合っているのだ。
一方で、こうした急成長には課題もある。信者数は増えても、霊的成熟が追いつかない。リバイバルの歴史をひもとくなら、その傾向はよくあることだ。指導者の訓練や神学教育の必要性は高まっている。しかし、リバイバルの波は止まらない。多くの教会が弟子訓練や家庭での聖書の学びを始め、信仰を「日曜」から「日常」へと根付かせようとしているのである。(続く)
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