北ベルファストの貧困地区で育ち、ホームレスからSNSスターへと駆け上がったゲッド・アームストロングだったが、彼の成功の影には、深い孤独とむなしさがあった。ある時、シャンキル・ロードの教会のイベントに誘われて、彼は毎週礼拝に集うようになった。聖霊は既に働いており、彼は毎回涙が止まらなかった。そして、ついにイエスを信じ、受け入れたことによって、彼の渇きは完全に満たされたのだ。(第1回から読む)
ゲッドの回心は、北アイルランドの分断を越える象徴的な出来事だ。カトリック系地域のアードイン出身の彼が、プロテスタント地域のシャンキルの教会で信仰を得たのだ。長く続いた※宗教対立の地に「神の和解」を刻むものだった。「昔はシャンキルに石を投げていた。でも今はそこを歩きながら、神を賛美している」と彼は語る。(※北アイルランドの紛争の実際は、信仰上の対立ではなく、住んでいた場所がカトリック系住民が多数派の地区とプロテンスタント系住民が多数派の地区の対立であり、信仰上の理由は、両者の対立の直接の原因ではない)
この出会いは偶然ではなかった。教会の人々は温かく彼を迎え、祈り、共に食事をし、笑い、涙を流した。ゲッドは「僕は宗教を信じたのではなく、生けるキリストとの関係を持ったんだ」と言う。「これは儀式じゃない。イエスと共に歩むことなんだ」
救いを受けた彼の変化は劇的だった。クラブやアルコールとは決別し、酒造メーカーとの数千ポンドのスポンサー契約を切ったのだ。「聖書に書かれているからではなく、自然に心がそう導かれたんだ」と彼は言う。あれほど依存していた酒を、救われたその日から一滴も口にしていないという。
母親は最初、「私の息子をたぶらかした」と教会を警戒したが、息子の変化を目の当たりにして共に教会へ行くようになった。ゲッドの家族に信仰の火がともり始めたのだ。
一方、周囲の友人たちは戸惑った。カトリックの仲間からは「プロテスタントの教会? 英国側に寝返ったのか?」と批判されたという。しかしゲッドは言う。「宗教と国籍を混同すべきではないよ。イエスは政治のためではなく、人を自由にするために来られたんだ」
彼は今、この分断の地において神の愛が和解をもたらすことの生きた証人となっているのである。(続く)
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