北アイルランド(英連合王国)のインフルエンサー、ゲッド・アームストロング(26)は、TikTok などのSNSプラットフォームを通じて何百万ものフォロワーがおり、若者たちの間で圧倒的な人気を誇る存在だ。彼の人気と影響力に目をつけた大手企業は、次々にスポンサー契約を結んだ。華やかなパーティーとブランド契約に囲まれた彼の人生は、成功の絶頂のように見えた。しかしその内側には、満たされない心と深いむなしさがあった。そんな彼の人生を180度変えたのは、偶然のように思える「教会への招待」だったのだ。
ゲッドはベルファスト北部のアードイン地区の貧困家庭に生まれた。「食べ物を盗まないと朝食にありつけなかった」という少年時代だった。学校ではいじめに遭い、19歳でホームレスとなり、友人の家のソファを渡り歩く日々が続いた。それでも夢を捨てず、偶然投稿した動画が TikTok でバズり、数百万フォロワーを獲得したのだ。そして彼はレッドブルをはじめ大企業と契約し、アイルランドで最も高いビルのペントハウスに成功者として移り住んだのだ。
しかし実は、彼は繁栄の頂点に立ちながらも、同時に心の暗闇にも沈んでいった。「名声、注目、金銭が手に入った。それらは善良なものだと思っていたが、それは間違いだった。結局、罪深い本性が、自分を危険な道へ導くことから逃れることができなかったのです」。彼はベッドの中で泣きながら「この名声は何のためだ? 僕は誰を喜ばせているんだ?」と自問する夜が続いた。やがて彼は「宇宙に委ねる」とうそぶくニューエイジ思想に傾倒するが、むなしさは埋まらなかった。
転機は2023年秋だった。ある女性に誘われ、プロテスタント地域のシャンキル・ロードにある小さな教会の「クイズとカレーナイト」に足を運んだのだ。多くの友人が「危険な地域だ」と止めたが、彼は行った。翌週、二日酔いのまま日曜礼拝にも参加した彼だったが、どういうわけか泣けて仕方なかった。「毎週泣いていました。何かが心の中で変わっていたのです」。やがて彼は悟った。「初めは女の子目当てだったけど、神は人を導くために、人生に出会いを用いるんだ」と。
そして、救いの瞬間が訪れた。「考えられない解放と自由を得ました。愛、喜び、平和が押し寄せてきたのです。イエスを受け入れると、心の願いが変わります。イエスが愛するものを愛し、イエスが嫌うものを嫌うようになったのです」。その日を境に、彼の人生は全く新しい方向へ動き始めた。(続く)
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