2025年10月24日12時08分

ワールドミッションレポート(10月24日):トルコ 静かな霊的復興―教会を生む教会へ

執筆者 : 石野博

かつてパウロが伝道した多くの地域が地理的に重なるトルコは、今では人口の96%以上がイスラム教徒とされ、キリスト教徒はわずか1%に満たない。しかし今、この国では静かに新しい教会が生まれつつある。長くオスマン帝国時代の遺産を背負い、宗教的少数者として孤立してきたキリスト教徒たちが、地震と社会不安のただ中で、再び信仰の種をまいているのだ。

宣教団体「フォーガットン・ミッショナリーズ・インターナショナル」(FMI)のパトリック・アンソニー氏はこう語る。「トルコで教会を建てるためには、良い指導者であるだけでは十分ではありません。最も重要なのは、教会が次の教会を生み出すというビジョンを持っていることです」。トルコの多くの地域では、福音を聞いたことのない人々が今も数百万人単位で存在しており、教会開拓者の不足が深刻な課題となっている。

FMIは、信仰に深く根ざし、聖書に立ち、イエスとの真実な関係を持つ働き人を支援している。特に、単に教会を維持するだけでなく、弟子を育て、次の教会を生み出すリーダーこそが「真の教会開拓者」だと考えている。アンソニー氏は「教会を成熟させ、信徒を育てることは、その共同体の霊的健康のためであり、さらに新たな教会を生み出すことを目的としているのです」と語る。

一部の都市では、既にそのような働きが実を結び始めている。ある地域では、数十万人の人々の中にたった1つの福音派教会が存在し、そこから隣接する地域にもう1つの教会を設立しようという計画が進められているという。しかし、新しい教会堂を建てることはトルコの法律で認められておらず、既存の建物を利用するか、オフィスを借りて集会を行うしかない。この現実は、トルコでの教会開拓を困難なものにしている一因だ。

それでも、地震後の支援活動を通して、多くのイスラム教徒がキリストに心を開いており、希望の兆しは確実に広がっている。愛と奉仕によって証しされた福音は、制度や伝統、習慣の壁を越えて人々の心に届いているのである。

どうか、トルコの地において福音を携える働き人がさらに起こされ、既に立てられた教会が「1つの教会から次の教会へ」と増え続け、この国全体に福音の光が届くように祈っていただきたい。

■ トルコの宗教人口
イスラム 96・6%
プロテスタント 0・03%
カトリック 0・06%
正教 0・03%
ユダヤ教 0・02%

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石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。