2025年10月22日20時40分

トルコ、5年余りで外国人キリスト教徒200人以上を国外追放 「国家安全保障」理由に

トルコ/イスタンブール
トルコ最大の都市イスタンブール(写真:BTWImages)

キリスト教法曹団体「ADFインターナショナル」(英語)によると、トルコ政府は「国家安全保障」を理由に、この5年余りの間に外国人キリスト教徒200人以上を国外追放しているという。

ADFインターナショナルの法務担当者であるリディア・リーダー氏が13日、ポーランドの首都ワルシャワで開かれた欧州安全保障協力機構(OSCE)主催の国際会議で語った。

それによると、トルコでは2020年以降、外国人キリスト教徒200人以上が国外退去処分を受け、その家族らを含めると、約350人が影響を受けたという。24年12月から25年1月までの2カ月間だけでも、少なくとも新たに35件の国外退去命令が出されたとみられている。

その多くは数十年にわたりトルコに居住していた人々で、トルコ内務省はこれらの人々の再入国も事実上禁止しており、安全保障上の脅威とみなしているという。また、この措置により、牧師を失ったプロテスタント教会も多く、国内各地で混乱を招いているという。

ADFインターナショナルは現在、トルコ国内の裁判所と欧州人権裁判所(ECHR)の両方で、国外退去処分に異議を申し立てるキリスト教徒の訴訟30件以上に関与している。リーダー氏は、次のように述べた。

「トルコ政府が、平和的なキリスト教徒の住民に対し『安全保障上の脅威』とレッテル貼りする行為は、法の明らかな濫用であり、信教の自由に対する攻撃です」

「政府が行政や移民制度を操作し、信仰のみを理由に人々を排除するとき、それは法の支配と寛容、平和共存の原則そのものを損なっています」

トルコに30年以上合法的に居住していた米国籍の男性も、現在ECHRで審理中だ。男性は、不正行為を示す証拠が何もないにもかかわらず再入国を禁止されたとして、トルコ政府と争っている。

ADFインターナショナルは、トルコ政府が国内のキリスト教弾圧を目的としたとみられる他の措置も講じていると指摘する。同国では、キリスト教の神学教育は厳しく制限され、プロテスタントの神学校は法的地位を取得できず、聖書教育も禁止されているという。また、教会は礼拝施設を使用する際、しばしば追加の制限に直面する。

トルコでは、過激な左翼グループやクルド人民族主義者による暴力・テロ事件が度々発生してきた。しかし、自国民であるか外国人であるかを問わず、キリスト教徒が関与したテロ事件は1件も記録されていない。