2025年10月19日17時04分

ワールドミッションレポート(10月19日):南アフリカ 孫を育てるおばあさんたちに福音の支えを

執筆者 : 石野博

南アフリカでは、宣教団体「クリスチャン・ワールド・アウトリーチ」(CWO)の働きによって、孫を育てるおばあさんたちが励ましを受け、支えられている。CWOの姉妹団体「シングル・マムズ・レイジング・サンズ(子どもを育てるシングルママ)」による支援活動は、当初シングルマザーを対象としていたが、今では孫を育てる高齢のおばあさんたちへとその手が広がってきた。

祖母世代の多くが、80代の高齢でありながら孫の養育に直面しており、昔に子育てをしたときとは異なる課題に直面している。CWOのグレッグ・ヨーダー氏はこう語る。「私たちはおばあさんと集まり、孫を育てるための子育てスキルを語り、福音を分かち合い、実用的なツールを彼女たちに提供しています」

支援の内容は霊的なサポートにとどまらず、食料・衣類・必要物資の提供や、市場でだまされずに公平な価格で売り買いできるように「秤(はかり)」を与えるなど、経済的な支援も含まれている。その反応は温かく、多くのおばあさんたちが「誰かが私たちのそばに来て、共に戦ってくれるんじゃ。ありがたいことよ」と喜びを表している。

これらの支援は、おばあさんたちだけでなく孫世代にも安定した生活をもたらす大きな力となっている。「実の親が育てることができないこの子どもたちは、傷ついています。高齢のおばあさんに育てられるというのは両者にとって大変なことです」とヨーダー氏は語る。

おばあさんに育てられたある少年は男性メンターと共に「メン・モールディング・メン(男が男を形作る)」キャンプに参加し、真の男性像や信仰について学び始めた。祖母たちは自分たちの信仰を孫に手渡し、その家庭の中に「希望の遺産」を築いているのである。

祖母が孫を育てなければならない背景にあるのは、HIV・エイズのまん延だ。しかし、このような活動を通して、南アフリカの祖母たちが社会の片隅で静かに働き、孫を育てながらキリストへの信仰を生活の中に表している。教会は彼女たちを支え、地域の信仰共同体を強める大切な役割を担っている。

CWOの働き人やボランティアたちが守られ、祖母と孫、その双方にとって役立つ知恵と力が与えられるように祈ろう。そして、社会的に弱い立場にある高齢の養育者たちが、福音と実践的支援を通じて力づけられ、今育っている若い世代が主イエス・キリストの愛を受け、希望をもって歩み出すことができるように祈っていただきたい。

■ 南アフリカの宗教人口
プロテスタント 68・7%
カトリック 6・0%
正教 0・1%
イスラム 1・7%
ユダヤ教 0・15%

◇

石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。