人生のどん底に沈んだとき、アドゥルは完全な暗闇の中にいるように感じていた。離婚によって家庭が崩壊し、心は痛みと絶望に覆われていた。「心が重く、もう全てを諦めたいと思うこともありました。誰にも理解されない、出口のない暗闇に閉じ込められているようでした」と彼は振り返る。
そんなある日、一人のクリスチャンが彼に声をかけ、聖書の学び会に誘った。「彼は空虚な慰めの言葉をくれたわけではありません。彼は私にイエスを紹介してくれたのです。そして『心を開いてイエスに祈ってみてください』と言いました。私は思いました。イエスは本当に私の声を聞いてくださるのだろうか、と」。それでもアドゥルは、自分の苦しみと痛み、そして心の弱さをイエスに語り始めた。
状況はすぐには変わらなかったが、アドゥルの心は確かに変わり始めた。「イエスを知るようになってから、愛と忍耐、そして赦(ゆる)しの力が心の中に生まれてきました。過去の痛みを手放し、前を向く力を与えられたのです」と彼は語る。離婚の傷も、裏切りの苦しみも、イエスの愛の中で少しずつ癒やされていった。
「今では、どんな状況の中でも希望と信仰をもって立ち向かうことができます。私は毎日イエスに祈り、まるで親しい友人のように語り合っています。礼拝し、祈り、信徒仲間と共に聖書を学ぶ時間が、私の人生を新しくしました。イエスは、私の心と生き方を、思いもよらないほど変えてくださいました」
アドゥルのように、心の闇に沈む多くの人がキリストの福音にある新しい命の希望を見いだすことができるように祈ろう。絶望の中にある人々が、主の愛によって癒やされ、真の平安を得るように祈っていただきたい。
■ タイの宗教人口
仏教 85・3%
カトリック 0・5%
プロテスタント 0・6%
イスラム 7・9%
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