2025年10月14日07時42分

聖書のイエス(19)「舟の右側に網をおろしなさい」 さとうまさこ

コラムニスト : さとうまさこ

聖書のイエス(19)「舟の右側に網をおろしなさい」 さとうまさこ
フルカラー聖書漫画『聖書のイエス』より

イエスは彼らに言われた。「舟の右側に網をおろしなさい。そうすれば、とれます。」そこで、彼らは網をおろした。すると、おびただしい魚のために、網を引き上げることができなかった。(ヨハネの福音書21章6節)

イエスが弟子たちに大漁をもたらした奇跡の話です。弟子たちが、イエスの復活後に経験した挫折から再出発する場面であり、イエスの言葉に従うことの重要性を示しています。

イエスの復活後、弟子たちは迫害を恐れて部屋に隠れていたり、元の漁師の生活に戻ったりと、将来への不安と混乱の中にありました。そんな中、彼らは一晩中漁をしても、一匹も魚を捕ることができませんでした。

イエスが岸辺に立っていましたが、弟子たちはイエスとは気付かずにいました。イエスは弟子たちに「舟の右側に網をおろせば魚が捕れる」と指示されました。弟子たちがその言葉に従って網をおろすと、おびただしい数の魚が捕れ、網を引き上げることができませんでした。

聖書は、この時に捕った魚の数が153匹で、これほど多くの魚が捕れたにもかかわらず、網が破れなかったことを強調しています。この大漁を目にし、イエスの愛する弟子(ヨハネ)がペテロに「あの方は主(イエス様)です」と告げ、ペテロはすぐにイエスのもとへかけて行きました。

一晩中労苦しながら、何も得られなかった弟子たちは、イエスの言葉に従うことで、神からの慰めと豊かな実り、祝福、励ましを受け取りました。

この破れなかった網は、弟子たちの信仰、または、これから彼らが築き上げていく教会の堅固さを象徴しています。この奇跡は、弟子たちがイエスに再召命される重要な場面であり、イエスの言葉に従うことによって、祝福と刈り取り、喜びが得られることを示しています。挫折を経験した弟子たちは、復活したイエスによって再び立ち上がり、新しく福音伝道の使命へと導かれ、再出発します。

神の奇跡の御力により、網が破れなかったことで、弟子たちは、自分たちへの神の召命は本物であり、神の計画の中に位置づけられていることを再認識できました。大漁は、終末におけるキリスト者の大いなる収穫を示しています。網が破れなかったことは、たとえ多くの困難があろうとも、神がご自分の民を完全に守るという約束を表し、主がその弟子たちを、大きな試練や迫害、困難にあってもいつも守り、支えてくださるというメッセージを私たちに与えています。

復活したイエスにより、彼らは失いかけていた希望を取り戻すことができました。彼らは自分たちの召命が本物であり、神の計画の中にしっかりと位置づけられていることを再認識できたのです。

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さとうまさこ

さとうまさこ

1990年、ちばてつやプロダクションに入社。イエス・キリストに出会い、91年に受洗。98年から週刊少年マガジン連載漫画家のアシスタントを務め、2010年に聖書漫画家として活動を開始。日本リバイバル同盟清瀬キングダムチャーチ執事、キングダム出版イラストレーター。著書に『聖書のイエス』『イエス最後の7日間』『天路歴程』『イエス・キリストの誕生』ほか。