スーダン情勢が崩壊の瀬戸際にある中、難民キャンプでの医療アウトリーチ活動が小さな希望の灯をともしている。内戦と政情不安により、スーダン国内は医療体制が崩れ、住民の命が危機的状況に追い込まれている。隣接国へ避難を余儀なくされた人々も多く、過密なキャンプ生活の中で感染症や栄養不良、怪我などがまん延している。そんな中、宣教団体や教会ネットワークが医療支援と福音宣教の統合的な働きを進め、物的・霊的な支えを現地にもたらしているという報告がある。
例えば、難民キャンプ近郊で行われたアウトリーチでは、無料の診療所が設置され、看護師や医師、ボランティア信徒らが夜を徹して患者を診察した。切り傷、熱病、皮膚病、呼吸器疾患など、日常的な症状から緊急性のあるケースまで幅広く対応した。ある小さな女の子がひどい熱でぐったりしていたが、点滴と抗生物質の処置を受け、翌日には自力で歩けるようになったという話もある。これらの治療の場で、信仰者たちは「主の癒やし」を語り、聖書の言葉を優しく共有して回った。医療援助を通じて「ただの支援者」ではなく、「福音の伝達者」として人々と絆を結んでいるのである。
しかし、この働きは容易ではない。医薬品や器具の輸送が戦禍で妨げられることも多く、スタッフ自身の安全確保にも危険が伴う。さらに、避難民の中には宣教団体や教会に対して不信感を持つ人々もおり、短期の物資支援を受け入れても、深い信仰の議論となると戸惑いや警戒を示すケースもある。それでも奉仕者たちは、信頼関係を築きながら、病を癒やすだけでなく、心に灯をともすメッセージを届けようと努力している。ある医師は「この医療支援はただの救命活動に留まってはならない。人々が生きる希望を見いだす手がかりとなるように努めています」と語っている。
こうした活動は、スーダン難民を支える地域の教会や国際支援団体の協力なしには実現し得ない。語学・文化の壁、供給網の断絶、資金の制約、それらを乗り越えるために献身と智恵が試される。だが、救われた命、再び笑顔を取り戻した子ども、ありがとうと涙を流す家族の姿は、この働きの先にある栄光を予期しているようだ。
どうか、この医療アウトリーチを支える宣教者と信徒たちが守られ、必要な物資と人材が途切れず、命が救われ、心に永遠の希望が植えられるように祈っていただきたい。
■ スーダンの宗教人口
キリスト教 60・5%〔諸派含む〕
土着の宗教 32・9%
イスラム 6・2%
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