
国際伝道団体「ビリー・グラハム伝道協会」(BGEA)と国際支援団体「サマリタンズ・パース」が、最近追加されたリーダーシップに関する新基準を巡り、福音主義財務責任協議会(ECFA)から脱退した。
ECFAの新旧会員情報(英語)によると、1979年にECFAの設立にも関わったBGEA、またサマリタンズ・パースが、1日付で自主的に脱退したことが判明した。両団体はいずれも、世界的な大衆伝道者である故ビリー・グラハム氏が設立し、現在は息子のフランクリン・グラハム氏がトップを務めている。
グラハム氏は、ECFAのマイケル・マーティン会長に宛てた7月2日付の書簡(英語)で、両団体が脱退する理由を説明し、「ECFAがその設立の使命、目的、実践から不適切に逸脱していると確信したため」だと述べている。
具体的には、昨年3月に開始されたECFAの「リーダーシップの誠実さを支援する卓越性」という新基準を挙げ、「ECFAを福音派界の道徳警察のような役割に追い込む」と指摘している。
グラハム氏は書簡で次のように述べている。
「この指導者ケアに関する基準は、個人の霊的成熟度や行動も扱っていますが、これは明らかにECFAの専門分野の範囲外です。明確に合意された基準やガイドラインがないまま新しい基準を導入しても、それは本質的に意味のない見せかけに過ぎません」
「また、新しい指導者ケアの基準の導入後、今後ECFAが、財務責任の範囲外の他の基準を追加する可能性についても懸念しています」
米キリスト教調査報道メディア「ロイズ・レポート」(英語)によると、マーティン氏は声明で、両団体の脱退は「残念」だが、「彼らがそのミッションを追求し続けることを願っている」と述べた。
「両団体の指導者たちがECFAから脱退することを決定したのは残念ですが、彼らの功績は称賛に値します」
「50年近く前、ビリー・グラハム氏のリーダーシップは、ECFA設立のきっかけとなりました。また、この2つの組織は長年にわたり、ECFAの説明責任と誠実さの運動において、かけがえのないパートナーとしての役割を果たしてきました」
ECFAは昨年3月、「聖書の原則」に基づいて構築され、「健全なリーダーシップ、信頼の回復、そして宣教と彼らが奉仕する共同体のより明るい未来を支援する」と説明される新基準を発表した。
米キリスト教メディア「クリスチャンポスト」との昨年のインタビュー(英語)で、マーティン氏は、この新基準は「ガバナンス、財務説明責任、およびスチュワードシップに関する既存の誠実さの基準にシームレスに統合される」ことを意図していると説明していた。
「具体的には、このリーダーシップ基準は、ECFAの認定を受けた組織に、上級指導者の健康と誠実さをケアし、サポートするための積極的な措置を講じることを義務付けるものです。この新しいリーダーシップ基準は既に、地域教会、国際宣教団体、妊娠相談センター、救済活動団体、宣教メディア、教育機関など、ECFAの指導者たちや諸団体からなる多様なグループから強力な支持を得ています」
新基準はECFAが認定する教会や宣教団体の理事会に対し、「少なくとも年に一度、指導者たちと包括的なケアや、相互に合意した聖書の原則を守るという指導者の責務について話し合うこと」を義務付けている。
マーティン氏は昨年のインタビューで、次のように語っていた。
「堕落した世界では、指導者の失敗を全て防ぐことは不可能です。他のECFA認定基準と同様、この新しいリーダーシップ基準の目標は、『完璧』ではありません」
「この基準は、指導者の誠実さと健全性を支援し、認定組織が適切な保護措置を実施することを促し、信頼強化上重要な分野において慎重な措置が取られていることを寄付者に保証することを目的としているのです」