2025年10月9日10時42分

ワールドミッションレポート(10月9日):アルジェリア 荒野に咲く信仰の花

執筆者 : 石野博

北アフリカに位置するアルジェリアは、広大なサハラ砂漠を抱え、アラブ人とベルベル人を中心とする人口約4500万人の国だ。長年、イスラム教が国の文化と社会を深く支配してきたこの地で、近年驚くべき福音の前進が見られる。過去10年間にわたり、祈りと忍耐の中で働いた宣教師たち、そして現地の信者たちの労苦が、今、美しい果実を結びつつあるのだ。

信者の多くは、かつて伝統的なベルベル文化を守り続けてきたベルベル人出身者だったが、アラブ系住民や他の民族の中にも福音が広がり始めている。長年、民族間の緊張や対立が続いてきたアルジェリアにあって、民族を超えたキリストにある一致は、まさに聖霊の奇跡といえる。中には、幻や夢を通してキリストに出会った人々もいるが、多くの信仰者は、友人や家族による個人的な伝道を通して主を知るようになった。

近年では、福音を携えたベルベル人信者たちが、まだ福音の届いていないアラブ地域に移り住み、そこで新しい教会の集まりを始めている。彼らの信仰は、西洋的な形を模倣するのではなく、アルジェリア文化に根ざした独自の表現に富む。賛美歌、礼拝スタイル、聖書研究の方法、リーダーシップ訓練など、その全てが「自分たちの言葉と文化で主を礼拝する」のだ。

しかし、こうした霊的な成長の背後には、厳しい現実もある。政府による監視と規制、教会閉鎖命令、信徒への圧力は年々強まっており、家族の中の1人が回心すると、極めて厳しい圧力を家族から受ける。多くの信者が信仰を守るために地下でつながっている。それでも、信者たちは恐れず、むしろ迫害の中で福音の光をさらに輝かせている。

衛星放送、ラジオ、文書伝道、携帯メディア、そして聖書通信講座など、さまざまな手段を用いた宣教活動がアルジェリア国内外で進められていることは感謝だ。これらの働きを通して、聖書と信仰教材がより多くの人々の手に届き、迫害下でも教会が成長し続けられるように祈る必要がある。

荒れ果てた砂漠にあっても、神の御言葉の種は確かに芽を出し、花を咲かせている。アルジェリアの信者たちが信仰を守り抜き、迫害のただ中にあっても希望の福音を発し続けるように、また、いまだ福音を知らない数千万人の人々に主の愛が届くように祈っていただきたい。

■ アルジェリアの宗教人口
イスラム 97・3%
プロテスタント 0・3%
カトリック 0・01%
無宗教 2・4%

◇

石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。