日本キリスト教病院協会(JCHA)の第5回総会が9月26日、セブンスデー・アドベンチスト天沼教会(東京都杉並区)で開催された。今年は、東京衛生アドベンチスト病院(同区)が担当病院となり、「キリスト教主義に基づく全人医療実践の取り組み」をテーマに、9の会員病院から8病院、約40人が参加した。
開会礼拝では、東京衛生アドベンチスト病院の永田英子牧師部長が、「最後の者にも」と題してメッセージ。マタイによる福音書20章14節「自分の賃銀をもらって行きなさい。わたしは、この最後の者にもあなたと同様に払ってやりたいのだ」(口語訳)から、最後の者という在り方を、自らに当てはめて知ることを語った。
続いて、日本キリスト教病院協会の笹子三津留会長(淀川キリスト教病院理事長)が開会あいさつを、東京衛生アドベンチスト病院の西野俊宏院長が担当病院あいさつを述べた。
総会では、現在多くの病院が直面している人材確保における外国人介護人材の受け入れについて、アドベンチストメディカルセンターの中田裕文副院長が発題。日本の現況や、厚生労働省の経済連携協定(EPA)に基づく介護福祉士候補者の受け入れ、特定技能制度による外国人材の採用活動について報告した。
人材育成、特に次世代育成については、三育学院大学の杉正純学長が同大看護学部の取り組みを紹介。同大の学生による証しや、学生クワイアによる賛美もあった。
この他、各病院における全人医療の実践に向けた取り組みも発表された。アドバンス・ケア・プランニング(ACP)やスピリチュアルケアの報告では、ホスピスの患者がスピリチュアルケアを通してイエス・キリストに出会い救われた事例や、集中治療室(ICU)で治療を受けていた患者が、チャプレンを含むチームのケアにより生きる意欲を持ち、厳しい病状から回復して転院していった事例などが報告された。
また、胃がん切除手術の専門医である笹子氏は、病状が進行し、もはや手術適応ではなかった患者が、信仰により癒やされた経験を共有。そのような事例も、スピリチュアルケアとして報告があったらよいのではないかと話した。
閉会のあいさつでは、日本キリスト教病院協会の田頭真一副会長(オリブ山病院理事長)が、総会の「3つの感謝」を語った。第一の感謝は、参加者数と会員病院数の増加。開催の準備に当たった東京衛生アドベンチスト病院の関係者やJCHA事務局、また参加者全員に謝意を伝え、宮城航一前会長が述べた「全国のキリスト教病院が結びつき、共に学び合う」ことが、着実に実現していると話した。
第二の感謝は、原点に立った議論が行われたこと。JCHAの源流は、創設者の白方誠彌氏が、淀川キリスト教病院院長時代の1993年に、日本のキリスト教病院の院長らを集め、「使命と経営の在り方を学ぶ」ことを始めたことにある。今回の総会は、経営に直接関わる「人材確保」と「人材育成」が重要なテーマとなり、この2つの課題について、現状を踏まえた発題や真剣な討議が行われたことは大きな恵みだと話した。
第三の感謝は、揺るがぬキリスト教理念の土台が再確認されたこと。キリスト教病院の経営現場においては、収支の悪化やクリスチャン職員の減少、スピリチュアルケアの定義の混乱などが大きな課題となっているが、今回の総会はこれらの課題に向き合うための視点と勇気を与えてくれたと強調。何よりも、主イエス・キリストにある交わりを通して互いのために祈り合い、交わりを深め、協力していく体制が整えられてきたことは感謝だとし、この働きが次世代へと継承され、神の栄光を表すものとなることを切に祈ると述べた。
最後には、参加者全員が献身の思いをもって「主よ終わりまで仕えまつらん」を賛美。黙祷、派遣の祝祷をもって閉会した。
JCHAの第6回総会は来年、アドベンチストメディカルセンター(沖縄県西原町)で開催されることが決まった。また、2年に1度開催されるアジアキリスト教病院(ACHA)の第28回総会は、来年11月26日~28日に台湾・台南の新楼医院で、第29回総会は28年にタイ・チェンマイのマコーミック病院で開催される予定。