2025年10月4日19時43分

ワールドミッションレポート(10月4日):セルビア ノヴィ・パザルに輝く希望の灯火

執筆者 : 石野博

セルビア南西部とモンテネグロ北東部にまたがるサンジャク地方は、かつてオスマン帝国の支配下にあり、現在も人口の大多数がイスラム教徒で占められている。その中心都市ノヴィ・パザルは、約12万人の人々が暮らし、街には60以上のモスク、コーラン学校、さらにはイスラム神学を教える大学まで存在し、宗教色の濃い土地柄だ。歴史的にサンジャクのイスラム教徒は、セルビアやモンテネグロ全体では少数派であるが、地域内では強い結束を保ち、戦争と差別の記憶が根強く残る中で、信仰心の深さを一層強めてきた。

そのノヴィ・パザルの歩行者天国に面した有名なチェヴァピのレストランで、地元の若者ハムザが、外国からの友人と共に腰を下ろしていた。多くの人々がコーヒーや名物ソーセージを味わうために集まる賑やかな場だが、2人はスマートフォンで聖書を開き、バイブルスタディーをしていた。彼らが目を留めたのはヨハネの福音書8章32節「あなたがたは真理を知り、真理はあなたがたを自由にします」という御言葉だった。

しばしの沈黙ののち、ハムザは口を開いた。「これこそ、僕の国に必要なことです。人々が、イエスを真理として、光として認めることを願わずにはおれません。そうすれば、彼らは闇の力や金銭の奴隷から解放されるに違いありません」。さらに彼は言葉を続けた。「神様は、私のためにあなたをここに送ってくださったのです。あなたがいなければ、私はイエスに従うことができませんでした」

この地方およそ25万人のイスラム教徒住民の中で、イエスを信じる者として知られているのはハムザただ1人だけである。信仰を持って生きることは決して容易なことではない。しかし、彼は聖書から力を受け続け、迫害や孤独の中にあっても信仰を守り続けている。サンジャクにおける彼の存在は、まるで暗闇の中で輝く小さなともしびのようだ。

今なお戦争の爪痕と差別の現実が残るこの地域において、イエスの真理と光こそが解放をもたらすことをハムザは確信している。だからこそ彼は、自分一人であっても信仰を守り、周囲の人々にイエスの愛を証ししようとしている。

この地の人々がイエスを真理として受け入れ、従うよう祈ろう。サンジャクの人々に、効果的に福音を伝えるために、さらに多くの働き人と新しいアイデアが与えられるように祈っていただきたい。

■ セルビアの宗教人口
正教関係 73・7%
プロテスタント 1・7%
カトリ ック 5・0%
英国教会 0・01%
イスラム 16・1%
ユダヤ教 0・02%
無神論者 3・5%

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石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。