2025年10月2日10時00分

「神の言葉を全ての人に」 日本の聖書普及事業150年で記念式典・レセプション

「神の言葉を全ての人に」 日本の聖書普及事業150年で記念式典・レセプション
東京カテドラル聖マリア大聖堂で行われた聖書普及事業150年の記念式典

日本の聖書普及事業150年を記念する式典とレセプションが1日、東京カテドラル聖マリア大聖堂(東京都文京区)と近隣のホテルを会場に行われた。日本聖書協会の設立と関わりのあるスコットランド、英国、米国の3つの聖書協会の他、アジア・太平洋を中心とした各国・地域の聖書協会の代表者、また日本のさまざまな教団、キリスト教団体の関係者らが出席し、日本の聖書普及における節目を共に祝った。

日本聖書協会は、スコットランド、英国、米国の3つの聖書協会の日本支社を前身とする。このうち、スコットランド聖書協会の日本支社である北英国聖書会社が最も早い1875年に設立され、今年はそれから150年となる。

東京カテドラル聖マリア大聖堂で行われた式典には、海外からの来賓約50人を含め400人以上が参加。聖書協会世界連盟(UBS)のダーク・ギバース総主事とスコットランド聖書協会のエレイン・ダンカン理事長が、海外からの来賓の代表として祝辞を述べた。また、日本キリスト教協議会(NCC)の吉高叶(かのう)議長、日本福音同盟(JEA)の水口功理事長、キリスト教学校教育同盟の西原廉太理事長が、国内のキリスト教団体を代表して祝辞を述べた。

「神の言葉を全ての人に」 日本の聖書普及事業150年で記念式典・レセプション
式辞を述べる日本聖書協会の石田学理事長

日本聖書協会の石田学理事長は、大宣教命令が書かれたマタイによる福音書28章16~20節から式辞を述べた。石田氏は、イエスは大宣教命令の中で3つのことを命じているが、全ての民を弟子にするという一つ目の命令が、最も優先順位の高いものだと指摘。イエスの弟子となるには、イエスの生き方、歩み、御心を知る必要があり、それが記されているのがまさに聖書。その普及を自らの使命と確信した人々によって、日本の聖書普及事業は始まったと話した。

その上で、信仰の先人らから受け継ぐべきものは、大宣教命令から生じた聖書普及に対する情熱だとし、それは日本における聖書普及のみならず、世界の聖書普及にも向けられるものだと話した。また、聖書普及の働きには、その始めから教団教派の枠組みを超えた協力があったとし、大宣教命令は教会を一つに結び合わせると指摘。神の国の完成という究極の未来を望みながら、日本聖書協会は聖書の翻訳と普及を通して、この世界で全ての民を弟子とする働きを力強く続けていくと話した。

「神の言葉を全ての人に」 日本の聖書普及事業150年で記念式典・レセプション
聖書普及事業150年の歩みを振り返る日本聖書協会の具志堅聖総主事

日本聖書協会の具志堅聖総主事は、映像を用いながら150年の歩みを振り返った。3つの聖書協会の日本支社が合併して1937年に設立された日本聖書協会はこれまで、7人の理事長と10人の総主事がバトンを手渡しながら、その働きを続けてきた。合併前の時代を含め、これまで翻訳に関わってきた日本語訳聖書は、明治元訳、大正改訳、口語訳、新共同訳、聖書協会共同訳の5つに上る。

具志堅氏は、それぞれの聖書が時代ごとに教会形成と伝道のために用いられてきたと強調。さらに、これらの聖書は今も愛用され、さまざまな方法を通じて一般の人々の手にも届けられているとし、「神の言葉を全ての人に届ける、これが私ども日本聖書協会のミッション」と話した。

「神の言葉を全ての人に」 日本の聖書普及事業150年で記念式典・レセプション
記念式典で特別賛美をささげる青山学院初等部の聖歌隊

式典の後、大聖堂の向かいにあるホテル椿山荘東京に会場を移してレセプションが行われた。会場となったホテル内のホールの入り口には、昨年ローマ教皇フランシスコ(当時)に献呈された聖書協会共同訳の特装版講壇用聖書や、聖書普及事業150年を記念して刊行する同訳のミニチュアバイブル(新約聖書)などが展示された。

「神の言葉を全ての人に」 日本の聖書普及事業150年で記念式典・レセプション
聖書協会共同訳の特装版講壇用聖書と特装版ミニチュアバイブル
「神の言葉を全ての人に」 日本の聖書普及事業150年で記念式典・レセプション
聖書普及事業150年を記念して刊行するミニチュアバイブル

4代目のクリスチャンである石破茂首相も祝電を寄せ、日本基督教団の網中彰子総幹事、日本キリスト教書販売(日キ販)の戸塚邦夫社長、三省堂印刷の木船弘仁社長、神戸女学院の飯謙院長、韓国聖書協会のホ・ジェミン総主事が祝辞を述べた。

「神の言葉を全ての人に」 日本の聖書普及事業150年で記念式典・レセプション
ホテル椿山荘東京で行われた聖書普及事業150年の記念レセプション

来日した20カ国・地域以上の各聖書協会とUBSの代表者らは、それぞれの国・地域にゆかりのある贈り物を、日本聖書協会の代表者らに手渡した。

日本聖書協会の新たな取り組みとして、日本の著名なクリスチャンの生涯をマンガで伝える伝記シリーズ「日本クリスチャン人物伝」の発表もあった。来年6月には、第一弾として三浦綾子の生涯を描いた伝記マンガを刊行する予定だとし、その一部が映像で紹介された。

「神の言葉を全ての人に」 日本の聖書普及事業150年で記念式典・レセプション
記念レセプションで尺八とピアノによる特別演奏をする飯吉規邦氏(左)と吉田恵氏(右)

飯吉規邦、吉田恵両氏による尺八とピアノの特別演奏の後には、第36回聖書事業功労者賞の表彰式が行われた。受賞者は、聖書協会共同訳の講壇用聖書の造本などを手がけたフォプマ・ヴィエール製本所(オランダ)のヴィッツェ・フォプマ代表。受賞のあいさつは日本語で行い、「このような賞を頂くことは、私にとってとても特別なことです。言葉に表すことができません」と感謝の思いを伝えた。

「神の言葉を全ての人に」 日本の聖書普及事業150年で記念式典・レセプション
第36回聖書事業功労者賞の表彰式で握手を交わす日本聖書協会の石田学理事長(左)と、受賞したフォプマ・ヴィエール製本所のヴィッツェ・フォプマ代表(右)

最後には、教会音楽家の久米小百合氏のリードのもと、「あめには御使」(讃美歌158番)を出席者全員で歌唱。これまでの歩みへの感謝と未来への決意を神にささげた。