2025年9月23日10時33分

旧統一協会の韓鶴子総裁を逮捕、尹前大統領の妻や側近への金品授与に関与の疑い

韓鶴子/ハン・ハクチャ
世界平和統一家庭連合(旧統一協会)の韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁=2019年(写真:Gani Rroshi)

韓国の特別検察は23日、世界平和統一家庭連合(旧統一協会)の韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁(82)を、政治資金法違反や請託禁止法違反などの容疑で逮捕した。教団元幹部が尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の妻や側近に金品を渡し、便宜を得ようとした事件に、韓氏も関与した疑い。日韓のメディアが同日、相次いで報じた。

これまでの報道によると、韓氏は旧統一協会の前世界本部長である尹英鎬(ユン・ヨンホ)氏=政治資金法違反などの罪で公判中=と共謀し、2022年4~7月、尹錫悦氏の妻である金建希(キム・ゴンヒ)氏=あっせん収財罪などで起訴=に高級バッグやネックレスなどを贈り、教団関連の事業に対する便宜を得ようとした疑いがある。

また、尹英鎬氏は22年1月、尹錫悦氏の側近で、保守系政党「国民の力」の国会議員である権性東(クォン・ソンドン)氏=政治資金法違反容疑で逮捕=に1億ウォン(約1060万円)の違法献金を行い、同じく教団関連の事業に対する便宜を得ようとしたとされ、韓氏もこれに関与した疑いがある。

韓国では22年3月に大統領選が行われ、尹錫悦氏が、当時、革新系政党「共に民主党」の大統領候補だった李在明(イ・ジェミョン)現大統領に僅差で勝利しており、金品授与は大統領選の前後で行われた。

韓氏はこれまで、健康状態などを理由に特別検察からの出頭要請に応じていなかったが、17日になって出頭。特別検察は同日、韓氏に事情聴取を行い、翌18日に逮捕状を請求。ソウル中央地裁で22日、韓氏も出席して、逮捕状発付の可否を判断する令状審査が行われていた。

韓氏は17日の事情聴取で、容疑の多くを否認したとされているが、ソウル中央地裁は証拠隠滅の恐れがあるとして逮捕状を発付した。

韓氏は、旧統一協会の創設者である文鮮明(ムン・ソンミョン)氏の妻。文氏が2012年に死去した後、教団を継ぎ総裁となっていた。

※ 日本のキリスト教界では、キリスト教の教会ではないことを明示するため「統一協会」と表記することが多いことから、本紙では「旧統一教会」ではなく「旧統一協会」と表記しています。