2025年9月22日15時24分

教団・教派超えて神の平和求める 戦後80年で「日本国際朝餐祈祷会」初開催

教団・教派超えて神の平和求める 戦後80年で「日本国際朝餐祈祷会」初開催
記念撮影に納まる参加者ら

「日本国際朝餐祈祷会2025」が8月21日、お茶の水クリスチャン・センター(OCC、東京都千代田区)で開催された。ビジネス宣教団体の日本CBMCと、OCCで毎週祈祷会を開いている東京国際朝祷会が共催するもので、戦後80年を記念して初めて開かれた。

第1部はOCCの4階で行われ、東京国際朝祷会世話人の大野剛氏があいさつで、教団・教派を超えて神の平和を求める集いだと趣旨を説明。続く開会の祈りでは、ウクライナやパレスチナ自治区のガザ地区などで現在も行われている戦争に言及するとともに、民間人だけで80万人にも及ぶ日本人が犠牲となった第2次世界大戦に言及。「戦争は決して人ごとではありません。昔のことでもありません。しっかりと向き合って、神の平和を祈る必要に迫られます」と述べ、「どうか一つ一つの祈りを顧みてくださり、この世界が滅びから救いへと起死回生できるように」と祈った。

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OCC4階で行われた第1部

その後、2011年の東日本大震災で被災した佐藤彰氏(保守バプテスト同盟福島第一聖書バプテスト教会牧師)が、ヨハネによる福音書15章12~17節から「愛と信仰」と題して奨励を行った。

福島第一聖書バプテスト教会は福島第1原発から5キロの場所に位置する。佐藤氏は被災当時、信徒らと共に避難生活をする中、「人助けをしている場合ではない。助けて」と叫ぶような心境になったことがあった。そしてその時、「溺れている人は、溺れている人を救えない。罪のない神の独り子(イエス・キリスト)だけが、(罪人を)救える」と深く悟ったという。

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第1部で奨励をする保守バプテスト同盟福島第一聖書バプテスト教会牧師の佐藤彰氏

佐藤氏は、16歳で少年兵として沖縄戦に駆り出され、戦後廃人のようになったものの、教会に通うようになって回復した男性や、日本兵に妻子を殺されながらも、多くの日本人戦犯に恩赦を与えたフィリピンのエルピディオ・キリノ大統領(当時)の話を紹介。どのような境遇の人をも救われるイエスの愛は、自らの命を捨てる「十字架の愛」であることを伝えた。

また、信仰については、自分が選ぶものではなく、神が選ばれる「選びの信仰」を語った。シベリア抑留中、神の御心であれば日本に戻してくださいと祈り、帰国後、世俗的な自らの姿に葛藤を覚えながらも牧師となり、現在の日本基督教団溝ノ口教会を開拓した中村繁次。佐藤氏がまだ幼稚園児だったころ、将来牧師になると話していたことを覚え、20年間息子の献身を信じ祈り続けた母。福島第1原発から5キロの教会に遣わされた自身の誕生日が、大震災の発生日と同じ3月11日だったこと。また、聖書からは収税人ザアカイや使徒パウロを挙げ、それぞれが神の選びの中に置かれていることを語った。

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第1部の「代表の祈り」で祈りをささげる(左上から)インターナショナルVIPクラブ代表の市村和夫、ライトハウス自由が丘チャペル牧師の小田彰、(左下から)よろこび研究会代表の奥田英男、日本基督教団赤坂教会名誉牧師の姫井雅夫各氏

奨励の後には、代表の祈りとして、佐藤、市村和夫(インターナショナルVIPクラブ代表)、小田彰(ライトハウス自由が丘チャペル牧師)、奥田英男(よろこび研究会代表)、姫井雅夫(日本基督教団赤坂教会名誉牧師)の各氏が祈祷。佐藤氏は世界平和、市村氏はキリスト者の一致、小田氏は教会の復興、奥田氏は信仰生活の守り、姫井氏は地球温暖化のためにそれぞれ祈り、参加者も心を合わせた。

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OCC8階のホールで行われた朝餐会

その後、8階のホールで朝餐会が行われ、参院議員でグッド・サマリタン・チャーチ牧師の金子道仁氏が来賓としてあいさつを述べた。金子氏は、動きの激しい国政の状況に触れつつ、国の指導者のために祈るよう勧める御言葉(1テモテ2:1)に立ち、自身の感情や思いを超え、それぞれの遣わされた場所で祈っていくことが求められていると語った。

また、教育政策に関わっている立場から、教育の無償化に加え、現在力を入れているのが通信制の拡充を主体とした高校教育改革だと説明。少子高齢化が進み、地方の高校の存続が危ぶまれる中、全国全ての子どもたちに質の高い教育の機会を提供できるよう取り組んでいると話した。通信制において教会が担うことのできる役割についても話し、日本の教育に対する教会の貢献にも期待を示した。

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朝餐会であいさつを述べる参院議員でグッド・サマリタン・チャーチ牧師の金子道仁氏

第2部は8階のチャペルを会場に行われ、元東京交響楽団首席チェロ奏者で牧師のベアンテ・ボーマン氏と、妻でピアノ奏者のルリ子氏の演奏で始まった。日本CBMC理事長の山下純一氏が開会の祈りをささげた後、岐阜市長の柴橋正直氏が講演した。

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第2部で演奏をする元東京交響楽団首席チェロ奏者で牧師のベアンテ・ボーマン氏と、妻でピアノ奏者のルリ子氏

柴橋氏は初めに、小学6年生の長男がこの夏に洗礼を受けたことを報告。牧師家庭の出身で、自身も小学6年生で受洗したと話し、息子が自ら信仰告白に導かれたことの喜びを分かち合った。「本当に主は生きて働いておられて、直接一対一の関係の中で語ってくださり、信仰を育ててくださることを学ばされた」と話した。

柴橋氏は大学卒業後、大手銀行勤務を経て25歳で政治の道に入り、5年後の2009年に30歳で衆院議員に初当選。次の総選挙で落選するまで、3年余り国政に携わった。その後、14年に岐阜市長選に出馬するも約1500票差で惜敗。18年の再出馬で当選を果たし、現在2期8年目を迎えている。

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第2部で講演をする岐阜市長の柴橋正直氏

計10年の下積み・浪人時代を経験し、一度国会議員になったものの、現在は地方都市の市長という立場だが、自身の政治家としての歩みを「本当に良かった」と振り返る。浪人時代については、「(心が)砕かれ、自分が本当に主の道を歩んでいるのか、信仰を練られる機会」だったと言う。また、市長は「地方自治の最前線の仕事」だとし、国政の状況も把握しながら、あらゆる国民生活の問題に対応する現場だとし、衆院議員時代よりも政治家として貢献できる実感があると話した。

こうした中、2023年末に大きな試練を突き付けられる。慢性リンパ性白血病と診断されたのだった。現在はステージ0で自覚症状はなく、内服治療をしながら公務を続けているが、その時はがくぜんとし、「主よ、なぜですか。これからではないですか」と神に訴える思いだったという。しかしその一方で、「主は何も意図のないことをされない方。主の計画が必ずある。目的があるはずだ」という信仰の思いもあった。

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OCC8階のチャペルで行われた第2部

そして今年2月、政府内で高額療養費制度の負担上限額引き上げが検討される中、慢性リンパ性白血病であることを公表するとともに、上限額引き上げに反対する声明を発表した。市長の立場で政府の方針に反対することや、病気を公表することは、政治家としてリスクのあることだったが、「何かに背中を押された」思いだったという。声明への反応は肯定的なものが多く、上限額引き上げも結果的に見送りとなり、再度制度設計することになった。

柴橋氏は診断後、気落ちし、神の存在を疑うような状態のままであれば、このようなことにはならなかったはずだとし、神の癒やしと計画、目的を信じてこれからも歩んでいきたいと話した。

教団・教派超えて神の平和求める 戦後80年で「日本国際朝餐祈祷会」初開催
第2部の「代表の祈り」で祈りをささげる(左上から)東京基督教大学名誉教授の稲垣久和、グレイスチャペル東京牧師の渡部信、(左下から)翼学院グループ院長の芦澤唯志、ワールド・ビジョン・ジャパン監事の小西孝蔵各氏

講演の後には、第1部と同じ5つのテーマについて、柴崎、稲垣久和(東京基督教大学名誉教授)、渡部信(グレイスチャペル東京牧師)、芦澤唯志(翼学院グループ院長)、小西孝蔵(ワールド・ビジョン・ジャパン監事)の各氏が代表して祈祷。最後には、山口陽一氏(東京基督教大学特別教授)が閉会祈祷と祝祷をささげた。