2025年9月22日09時38分

ワールドミッションレポート(9月22日):ガンビア 聖書の物語が暗闇を打ち破る

執筆者 : 石野博

西アフリカの小国ガンビアのある村の学校で、聖書の物語が子どもたちを暗闇から解き放つという驚くべき出来事が起こっている。かつてこの学校の子どもたちは、理由の分からない怒りや暴力的な行動に悩まされ、授業中に突然叫び声を上げて倒れ込む子さえいた。村の大人たちは不安を募らせ、教師たちも「何とかしなければ」と胸を痛めた。

そんな時、フランス語教師のマダム・テテが「Open the Book(オープン・ザ・ブック)」というプログラムを導入することを決意した。これは聖書の物語を子どもたちに分かりやすく語り聞かせ、視覚的に体験させる取り組みで、アフリカを含む世界各地で用いられている。教師たちは、毎朝子どもたちが神に守られるようにと祈りで一日を始めた。

物語の世界を通してイエスの愛と癒やしに触れた子どもたちの心には、少しずつ変化が芽生えた。12歳の少女フローレンスは、以前、放課後の帰り道で恐ろしい悪魔の声を聞いた。フローレンスは怯えてマダム・テテに助けを求めた。テテが祈ると、二度とその声を聞かなくなった。「私は自由になったし、もう怖くありません」と語るフローレンスは、今では妹たちに「聖書が必要よ」と話し、共に物語を聞きに学校へ通っている。

聖書の物語が始まって以来、この学校の空気は一変した。暴力はやみ、不可解な事故や憑依現象も消え、子どもたちの顔には平和と喜びが戻った。今では子どもたちはイエスの愛を知り、癒やしを体験している。

イスラム教徒が人口の9割以上を占めるガンビアでは、キリスト教は少数派だ。それでも、多くの村で小規模な教会や学校が、愛と希望を携えて地域に仕えている。マダム・テテのような教師たちが、困難な状況の中でも忠実に御言葉を語り続けているのだ。

「オープン・ザ・ブック」の働きがさらに多くのガンビアの子どもたちに届き、マダム・テテのように大胆に立つ教師たちが守られ、強められるよう祈っていただきたい。神の言葉が今も暗闇を打ち破り、より多くの村で癒やしと解放をもたらすよう祈っていただきたい。

■ ガンビアの宗教人口
カトリック 2・8%
プロテスタント 0・6%
単立 0・7%
イスラム 89・5%
土着宗教 5・6%
バハイ 0・3%

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石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。