2025年9月21日15時09分

ワールドミッションレポート(9月21日):南アジア某国 宣教の最前線で働く神の御手

執筆者 : 石野博

現代の宣教の最前線では、人知を超える神の御手が静かに、しかし確実に働いている。南アジアの小さな村で起きた出来事は、その事実を如実に示すものだ。

ヒンズー教徒が大多数を占め、迷信と伝統的慣習が根強く残るこの村に、カビル牧師(仮名、※安全のために本名は伏せてある)は、長年にわたって足を運び、少数の信者たちと礼拝を守ってきた。しかし、村人の多くは福音を受け入れず、牧師に対して否定的だった。宗教的偏見と文化的障壁が、福音の種が根を下ろすことを阻んでいたのである。

そんな中、村の5歳の少女アーマ(仮名)が視力を失い始め、やがて部分的失明状態となってしまった。両親は彼女の回復を願い、病院や呪術師を訪ね歩いたが、どれも功を奏さなかった。学校にも通えなくなり、教育の機会を失った娘の未来を悲観した家族は、深い絶望に沈んだ。

そんな時、近隣の住民の一人が父親にこう告げた。「村のクリスチャンたちの所へ行ってみてはどうかね。イエスの神様が助けてくれるかもしれんぞ」。何を試してもダメだった家族にとって、それは神が備えた最後の望みだった。父親はわずかな望みを胸に、娘を連れてクリスチャンの集会を訪ねた。

カビル牧師は迷わずアーマの目に手を置き、全能の主を信じて、イエスの御名で熱心に祈った。祈りの後、少女は目をこすった。驚いたことに、白い粒子のようなものが目から落ちたのだ。そして、まばたきをすると、失われていた視力が完全に戻っていることに気付いたのである。

その場にいた家族と信徒たちは息をのみ、やがて喜びと感謝の涙に包まれた。家族は自らの目で見た奇跡を通してイエスに心を開き、進んで福音を受け入れた。現地の伝道者は、「家族は奇跡に驚き、イエスに感謝をささげました。彼らは喜んで福音を受け入れ、今はイエスが真の神であることを証ししています」と報告している。

アーマに起きた癒やしの奇跡は、瞬く間に村の隅々に広がった。いや、そればかりか近隣の村々にまで伝わった。その結果、長年閉ざされていた扉が開かれ、人々は福音に心を開き始めている。偶像礼拝に閉ざされていた村は、福音の力がいかに強力であるかを目撃したのだ。

聖霊による癒やしは、今も聖書の時代と同じように起きている。この南アジアの村と、同じような最前線で働く奉仕者のために祈ろう。多くの人々が福音を信じて、主イエス・キリストを知ることができるように祈っていただきたい。

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石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。