
中絶反対を訴えるプロライフの行進「マーチ・フォー・ライフ」が6日、ロンドンで行われ、英国各地から集まった参加者が胎児の命を守るべく、力強い声を上げた。主催者によると、参加者は推計で1万人を超え、大半はキリスト教徒だったが、無神論者の参加も増えたという。
この日は、午前に礼拝と祈祷会が行われ、その後、英国議会の議事堂であるウェストミンスター宮殿近くの広場「パーラメントスクエア」まで行進した。
パーラメントスクエアでは、さまざまな演説が行われた。会場近くでは、プロチョイスの中絶支持者らによるカウンターデモや、英政府が親パレスチナ団体「パレスチナ・アクション」の活動を禁止したことに対する抗議活動などが行われていたが、参加者の熱意は衰えなかった。
今年のマーチ・フォー・ライフは、英国国教会の主教やカトリックの司教らのほか、英国で活動する大衆伝道者のグレン・スクリブナー、英福音派アドボカシー団体「クリスチャンコンサーン」最高責任者(CEO)のアンドレア・ウィリアムズ、英福音派神学者のアーロン・エドワーズ、英下院議員のカーラ・ロックハート、プロライフ活動家で牧師のリーガン・キング各氏ら、多くのキリスト教指導者が支援をした。
マーチ・フォー・ライフの共同ディレクターであるイザベル・ボーンスプルースさんは、次のように述べた。
「かけがえのない人間か、価値のない細胞組織のかけらか――(胎児について)何を信じるのか、さらに重要なのは、どう応答するかです。親、政治家、牧師、警察官、医療従事者、弁護士、ジャーナリスト、そしてここにいる一人一人がその選択をしなければなりません」
「この2つの世界観は共存できません。両方とも正しいはずがないのです。どちらかを選ばねばなりません」
ボーンスプルースさんはこの日の成功を振り返り、参加人数以上に、英国内でプロライフ運動の素晴らしい事例が数多く報告されたことに喜びを感じたと語った。
「ある学生は大学でプロライフ団体を立ち上げる計画を、別の学生は霊的な戦いの現実を痛感し、個人の祈りの必要性に気付いたと説明してくれました。他の人たちは、昨年の行進に強く感化されて友人を連れてきたと話してくれました。知り合いにも同じ体験をさせてあげたかったそうです」
マーチ・フォー・ライフは、米連邦最高裁が1973年、中絶を憲法上の権利とした「ロー対ウェイド」判決を出したことを受け、翌74年に米首都ワシントンで始まった。その後、世界的なプロライフ運動として拡大し、英国や日本を含め世界各国で行われている。