
王なるイエス・キリストの統治を祝う年に一度の祭典「ジーザス・レインズ・ジャパン」が、終戦記念日の8月15日、全国7カ所で同時開催された。今年は10周年の節目で、としま区民センター(東京都豊島区)を会場に開かれた関東首都圏の集会では、参加者が「ジーザス・レインズ・ジャパン(イエスは日本の統治者)」と何度も宣言しながら、会場近くの池袋駅周辺をパレードするとともに、1日にわたって祈りと賛美をささげた。
ジーザス・レインズは、フィリピン・セブ島に住むごく普通の女性信者が祈りの中でビジョンを示されたことで始まった。地元の教会と協力しながら準備を進め、2012年に初開催。その後、15年にフィリピンの集会に参加した日本人牧師が、日本で開催するビジョンを与えられ、翌16年に第1回のジーザス・レインズ・ジャパンが開かれた。終戦記念日の8月15日に開催することも、ビジョンの中で示されたことだった。
ジーザス・レインズは、クリスチャンが教派を超えて一致し、「イエスの御名だけを賛美し、祝う」ことを大切にしている。そのための具体的なコアバリュー(中心的な価値観)として、「祈り」「名前を名乗らない」「一致」「犠牲を払って与える」「卓越性」の5つを掲げている。

「祈り」は、欲しいものを求める「おねだりの祈り」ではなく、常に祈ることによって、神により頼むこと。「名前を名乗らない」は、ジーザス・レインズの最も大きな特徴で、「私があなたを贖(あがな)った。私はあなたの名を呼んだ。あなたは私のもの」(イザヤ43:1)と言われる神は、一人一人を心から愛し、名前を知っており、「個人の名前、功績は主の前ではいらない。偉大なお方は神様だけ」との思いが込められている。そのため、集会中は「究極のへりくだり」として、特定の教会や団体、個人の名前は極力出さないようにしている。
「一致」は、キリストの体である教会が、バラバラになるのではなく、神の栄光を現し、卓越した働きをするため互いに協力すること(エフェソ4:3~6)。「犠牲を払って与える」では、自分自身を神にささげることが重要だとし、当日や事前に献金の依頼はしないようにしている。「卓越性」は、クリスチャンは、信仰、言葉、知識、熱心さ、愛において富む者になる(2コリント8:7)とされており、神にささげるものとして、卓越したパーフォーマンスを目指すというものだ。
関東首都圏の集会では、午前にパレードを行い、池袋駅周辺を約1時間にわたって練り歩いた。参加者は炎天下の中、賛美を歌ったり、イエスが全ての国の統治者であることを示すため、各国の国旗を掲げたりしながら、「イエスは王様の中の王様」「イエスが真の光」などと声を上げた。

午後は、1時間半の賛美の後、関東首都圏のための祈りとして、東京、神奈川、千葉、埼玉、栃木、茨城、群馬の7都県のために、それぞれの代表者が祈った。代表者が各都県の人口や教会数、特徴などを挙げながら祈ると、会場の参加者も「アーメン、アーメン」と大きな声で応えた。
続いて、芸術・娯楽、ビジネス、教育、家族、政府、メディア、宗教、医療・福祉の「8つの山(分野)」のために祈った。これは、「7つの山」として知られる社会の7分野に、高齢化が進む日本社会の現状を踏まえ、医療・福祉を8つ目の山として加えたものだ。
このうち、ビジネスのために祈った男性は、変化の激しい現代社会ではビジネスにおいてもさまざまな困難があることに触れ、クリスチャンが救いの喜びを持ち、希望を抱きながら仕事に臨めるように願った。また、経営者や経済界のリーダーたちのためにも祈り、「神を恐れ敬い、この世の価値観ではなく、聖書の価値観に基づいて仕事をし、経済・ビジネスを導いていくことができますように」と求めた。

政治のために祈った牧師は、「人は皆、上に立つ権力に従うべきです」とあるローマの信徒への手紙13章1節を引用。「(政府が)良くても悪くても、政府のために仕え、祈る心を、日本の教会が持ち続けることができますように」と願った。また、クリスチャンの政治家が一人でも多く起こされるように祈るとともに、7月の参議院選挙で注目を集めた「日本人ファースト」に触れながら、「私たちは日本を愛するとともに、『神の国ファースト』であり続けることができますように」と述べた。
その後、参加者全員で主の晩餐(聖餐式)の時を持った。これは初めての試みで、教派を超えた一致のしるしとして、イエスの体であるパンと、血であるぶどう液を、参加者一人一人が各自の教会の方法で頂いた。
各国・地域のための祈りでは、日本、イスラエル、フィリピン、インドネシア、米国、韓国、台湾のためにそれぞれ祈りをささげた。

日本のために祈ったクリスチャン政治家は、動画でメッセージを寄せ、戦後80年にわたって日本の平和が守られてきたことに感謝を表明。「これからも主を中心とし、平和をつくる者として、この国を導いていくことができますように」「私たちの国には、あなたの働きが必要です。どうか私たちの国が、主のリバイバルによって救われ、豊かな実を結んでいくことができますように」と祈った。
イスラエルのためには、代表者が祈るとともに、平和を求める民謡「ヘベヌ・シャローム・アレヘム」に合わせ、同国を祝福する思いを込めたダンスを参加者全員で踊った。フィリピンのための祈りでは、現地のビサイアン語による賛美、韓国のための祈りでは、韓国太鼓による演奏と舞踊に合わせた賛美もささげられた。
ジーザス・レインズ・ジャパンは今年、7都県を合わせた関東首都圏と、青森、福島、長野、滋賀、大阪、沖縄の6府県の計7カ所13都府県で開催された。47都道府県全てで開催することを目指しており、集会では、未開催の34道府県のための祈りもささげた。


賛美は、ワーシップソングやタンバリンダンスのほか、昨年に続き、大漁を祈願する北海道の民謡「ソーラン節」や、山形県の民謡「花笠音頭」を、それぞれ「人間をとる漁師」や「十人の花嫁」といった聖書の話に重ね合わせてアレンジし、歌い踊ることもした。また、十戒や山上の垂訓、詩編136編を、ラップ調の賛美にして歌う新しい試みもした。


フィナーレは、2時間にわたるエクストラバガント・ワーシップ。エクストラバガントは「惜しみない」という意味で、その言葉通り、全20曲の賛美を、参加者も立ち上がって輪になりながらノンストップで歌い通した。
今年は、青森県以外の会場は、集会の模様をユーチューブでライブ配信しており、アーカイブ映像を見ることができる。詳しくは公式サイトを。