2025年8月29日07時55分

ワールドミッションレポート(8月29日):リビア 砂浜に響く殉教者たちの祈り(3)

執筆者 : 石野博

さらに不可解な現象が続いた。ISISの兵士たちは、奇妙な光景を目撃したという。彼らは、地下牢で祈るキリスト教徒たちの間に、または移送中の車両のバックミラーに映る彼らの間に、キリストのような人影がいるのを見たという。(第1回から読む)

21人はオレンジ色の囚人服を着せられ、砂浜へ連行された。ISISは宣伝効果を最大化する撮影目的で、21人を3度も砂浜へ連行した。3度目は最後の連行となった。

ところがISISの戦闘員や撮影クルーらは、砂浜を歩いている21人の中に、不思議な人影を見たというのだ。黒い馬に乗る剣を持つ人物、白い長服を着た聖人のような人、黒いローブ姿の威厳ある人物、さらには白馬にまたがる騎士のような人物もいた。

「あれは何だ?」「彼らは21人のはずだが、もっと多くいるように見える」。兵士たちは目をこすり、再び見つめた。しかし、数えてみるとやはり21人しかいない。時には、空の色まで不自然に変化して見えた。真昼の太陽が薄れ、夕暮れのような光が差し込むこともあった。

これらの超自然的とも思える現象は、ISIS戦闘員たちの心に強い動揺をもたらした。恐れ知らずの「ジハード戦士」だったはずの彼らが、今や21人のキリスト教徒を恐れるようになっていた。

「やつらと一緒にいると、きっと何か良くないことが起こる!」「早く処刑して、この呪いを断ち切ろう! さもなければ、俺たちが殺される!」

戦闘員たちの間で、そんなささやきが広がった。当初の計画では、もっと長期間拘束して彼らを改宗させ、宣伝効果を上げる予定だったが、耐えきれなくなったのは、むしろISISの方だった。もはや一刻も早く「厄介者」を始末したかったのだ。21人の殉教予定者たちが、逆に、テロリストたちを恐怖に陥れていたのである。

2015年2月14日の夜、21人は翌日が最期になることを悟った。しかし、彼らに絶望はなかった。彼らにとって、死は解放であり、天で彼らを執り成しておられる大祭司、主イエスに会うことを意味していたのだ。(続く)

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■ リビアの宗教人口
イスラム 97・0%
プロテスタント 0・2%
カトリック 1・2%
正教 1・2%

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石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。