2025年8月23日08時23分

ワールドミッションレポート(8月23日):アルゼンチンのために祈ろう

執筆者 : 石野博

アルゼンチンは南米南部に位置し、広大なパンパ(大草原)、雄大なアンデス山脈、そして大西洋に面した長い海岸線を有する国である。首都ブエノスアイレスは経済・文化・教育の中心であり、人口が集中する一方、地方都市や農村部には、依然として福音が十分に届いていない地域も存在する。アルゼンチン社会は欧州系移民の影響を強く受け、特にイタリア系やスペイン系が多数を占めており、この歴史的背景は文化や宗教意識に色濃く反映されている。

国民の多くはローマ・カトリックに属するが、近年は急速な世俗化の波により、無宗教層が拡大している。その一方で、プロテスタントや福音派の信徒は着実に増加しており、1980年代に100万人未満だった福音派信者は、今日では数百万人規模に成長したと見られている。特に都市部では、若者や移民コミュニティーへの伝道が盛んになり、新しい活力を生み出している。

首都や主要都市においては、深刻な経済格差やスラム街の拡大が大きな社会課題である。路上で暮らす子どもたちや低所得層の若者に福音を届ける働きが強く求められている。また、中華系・韓国系・日系・ベトナム系など多様な移民コミュニティーが存在するが、それぞれの文化を理解した上での宣教はまだ限られているのが現状だ。各地の教会は神学校や聖書学校を通じて指導者の育成に取り組み、地域社会に根ざした宣教活動を展開している。

アルゼンチンの教会には、都市と地方、豊かな層と貧しい層、先住的住民と移民といった多様な人々に仕える使命が託されている。教会が互いに協力し、一致をもって神の愛と希望を示すとき、社会的・文化的な隔たりを越えて福音が広がっていくだろう。神の国がこの国全土に及び、アルゼンチンが南米における霊的な光となるよう祈っていただきたい。

■ アルゼンチンの宗教人口
カトリック 約62%
プロテスタント 約9%
無宗教 約18%
ユダヤ教 0・5%
イスラム 1・5%
その他 8%

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石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。