2025年8月15日06時47分

ワールドミッションレポート(8月15日):ブラジル 命を印刷する印刷所

執筆者 : 石野博

2022年、ブラジルを拠点とする宣教団体「Every Home for Christ」は、大胆なビジョンを掲げた。ラテンアメリカ全域へ福音を届けるため、大陸内での輸送に適した戦略的な位置に「アメリカ大陸聖書印刷所」を建設するという構想であった。そして、それからわずか数年、この夢は現実のものとなった。「アメリカ大陸聖書印刷所」は、何百万もの人々に神の言葉を届ける拠点として稼働し、多くの人々の人生を変えているのである。

「これは単なるプロジェクトではなく、神から託された天的な使命です」と語るのは、Every Home ブラジル代表のアレッサンドロ・ソアレス氏だ。「私たちは命を印刷しているのです」

この印刷所では、希望のメッセージを載せた聖書通信講座や福音冊子が大量に印刷され、それが各地へ送られる。この冊子群が届くことは、多くの人々にとって、生まれて初めて自分の母語で書かれた神の言葉を手にする瞬間となる。ブラジル奥地の農村に住む農夫、人生の目的を模索する若者、家族のために祈る母親、やり直しを願う受刑者――一冊の冊子が、感動的に彼らの人生を変えるのだ。

2024年だけでも、この印刷所は、500万冊以上の福音冊子、35万部を超える聖書通信講座、計26万冊の学習ガイドを含む「隣人を愛そう」キットは2万セットを超え、150万の人々にリーチした。

南米のへき地では、農村部や山岳地帯、アマゾン流域など、インターネットやテレビが届かない地域も少なくない。そのような場所では、印刷物こそが最も確実で持続的な宣教手段となる。冊子は読み終わっても捨てられず、家族や友人に回し読みされ、時には教会形成のきっかけにもなるのである。

「永遠に及ぶ影響は計り知れません」とソアレス氏は強調する。「絶望の中に希望を、不信の中に信仰を、孤独の中に愛を届けるのです。神は一枚のページを通して、人々の人生を変えておられるのです」と彼は静かに語った。

聖書は言う。「神のことばは生きていて、力があり、両刃の剣よりも鋭く、たましいと霊、関節と骨髄を分けるまでに刺し貫き、心の思いやはかりごとを見分けることができます」(ヘブル4:12)

何という励ましに満ちた証しだろう。数千年前に書かれた神の言葉は、今もみずみずしく働き、人々の人生を根底から変え続けている。私たちはこのシンプルな武器で、まだまだ勝負ができるのだ。

アメリカ大陸聖書印刷所の働きがさらに拡大し、命の言葉を受け取った人々が明確にイエス・キリストと出会い、変えられた人生を歩むことができるように祈っていただきたい。

■ ブラジルの宗教人口
カトリック 72・8%
プロテスタン 18・8%
土着の宗教 5・4%
ユダヤ教 0・06%
イスラム 0・3%

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石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。