2025年8月14日09時47分

ワールドミッションレポート(8月14日):ポーランド 殺人犯からキリストの友へ

執筆者 : 石野博

ポーランドの刑務所には10万人以上の受刑者が収容されている。その一人、ニコデム(仮名)は、2010年から終身刑で服役している。服役前、彼は借金の取り立てや恐喝、人身売買といった犯罪に深く関わり、人々に恐れられることを人生最大の価値と考えていた。そして、その歪んだ信念のために3人の命を奪ったのだ。

逮捕され、収監された日から、彼の人生は崩れ落ちた。鉄格子の向こう側に朝日を見るたびに「全く望まない場所に来てしまった」と痛感し、過去の悪行が次々と心に押し寄せたという。

そんなある日、運動場で、刑務所ミニストリーに携わる一人の若者が近づき「あなたは決して一人ではないです。神はあなたを愛しています」と語りかけた。しかし、ニコデムはその言葉を受け入れられず、怒って逆に若者を激しく殴ってしまったのだ。

暴力沙汰の処分として、ニコデムは独房に入れられた。孤独の中で彼は祈り始めた。そして若者は、彼に聖書が届くよう手配してくれたのだ。ニコデムはそれを毎日読み続けた。しばらくして、その若者は彼をダレクという人物に紹介した。ダレクは刑務所を頻繁に訪れ、イエスについて語ってくれた。ニコデムは一言一句を漏らさずに聞き続けた。やがて彼はヨハネの福音書を通してイエスの友となり、イエスを救い主として受け入れたのである。

「イエスは私に新しい人生を与えてくれました。今や自分はキリストに属していると分かります!」と彼は語る。恐怖と暴力で築いた人生は終わり、今では神の愛と赦(ゆる)しに生きる者へと変えられたのである。

ポーランドの刑務所伝道のために祈ろう。ニコデムや同じような境遇にある受刑者が信仰の歩みを続け、刑務所内で同じように絶望している受刑者たちにも福音を証しできるように祈っていただきたい。

■ ポーランドの宗教人口
カトリック 85・7%
プロテスタント 0・6%
正教会関係 1・5%
無神論者 10・1%
ユダヤ教 0・01%
イスラム 0・1%

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石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。