
コンゴ民主共和国(旧ザイール)東部イトゥリ州コマンダで7月27日、武装集団がカトリック教会を襲撃し、子ども9人を含む43人が死亡した。コンゴ軍は、過激派組織「イスラム国」(IS)と関係のあるイスラム反政府勢力「民主同盟軍」(ADF)の犯行としている。
AP通信(英語)によると、事件は27日午前1時ごろに発生。教会内で少なくとも38人、近隣の村で5人の死亡が確認された。犠牲者のうち、男性は19人、女性は15人、子どもは9人だった。
宣教師としてコンゴで長年活動しているマルセロ・オリベイラ神父が、カトリック系支援団体「エイド・トゥー・ザ・チャーチ・イン・ニード」(ACN、英語)に語ったところによると、犠牲者らは「聖体十字軍」と呼ばれる運動の参加者で、夏季休暇中のプログラムの一貫として、徹夜の祈祷会に参加していたところを襲われたという。
ACNによると、犠牲者らは銃で撃たれたり、なたで切られたりして殺害された。
ローマ教皇レオ14世は28日、バチカン(教皇庁)国務長官のピエトロ・パロリン枢機卿を通じて電報(イタリア語)を送り、「落胆と深い悲しみ」を表明。30日の一般謁見でも事件に触れ、このような悲劇を防ぐため、地域・国際レベルの責任者らに協力を呼びかけた。
世界教会協議会(WCC)のジェリー・ピレイ総幹事も30日、声明(英語)を発表。事件は「祈りのために集まった罪のない礼拝者に対する痛ましく容認できない暴力行為」だと批判した。その上で、「このようなテロ行為は、基本的人権と人道的原則に反するにとどまらず、人間の尊厳と命の神聖さといった道徳と信仰の最も基本的な価値観をも侵害するものです」と述べた。
AP通信によると、ACNは1990年代に隣国ウガンダで組織された。同国のヨウェリ・ムセベニ大統領を反イスラム的だと見なして活動し急成長したが、追いやられ、現在はウガンダ・コンゴ両国の国境地帯で活動している。2019年にISに忠誠を誓い、ウガンダにイスラム教のカリフ制国家を樹立することを目指している。
近年はコンゴ北東部で攻撃を激化させている。今年2月には、イトゥリ州に隣接する北キブ州のプロテスタント教会で、斬首されたキリスト教徒70人の遺体が発見された。犠牲者らは数日前、ADFに拉致されていた。
コンゴ東部は、1994年のルワンダ虐殺による影響を受けて以来、長年にわたり紛争に悩まされている。豊富な鉱物資源の利権も絡み、国連によると、紛争には100前後の武装勢力が関わっている。その中でも、ルワンダの支援を受ける「3月23日運動」(M23)の活動が特に顕著で、今年1月に大規模攻撃を始めたM23は現在、北キブ州の州都ゴマなどを実効支配している。