2025年7月24日09時28分

ワールドミッションレポート(7月24日):ブルキナファソ 敵意を征服するラジオ

執筆者 : 石野博

西アフリカの内陸国ブルキナファソでは、近年イスラム過激派の活動が激化しており、特に東部地域では村々が頻繁に襲撃を受けている。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、2024年末時点でブルキナファソ国内の避難民は約230万人に上り、その多くが宗教的暴力や過激派の脅威を逃れて生活している。

そんな中、ある小さな村で起こった出来事が注目されている。ある市場の日に、ジハード主義者たちが突然村に現れ、住民を脅し始めた。その時、一人の若いキリスト者が、井戸に置いたラジオからフルフルデ語によるイエス・キリストのメッセージを流していた。彼は動揺のあまり、ラジオを止めるのを忘れてしまった。ところが、一人の過激派の耳にそれが留まり、彼は聞き入っていた。「このラジオは誰のものか」と問い、年配の男が若者を指さすと、テロリストは何も言わず、そのラジオを持ち去った。

1週間後、再び同じ男が市場に現れ、「あのラジオのメッセージはとても良かった。もう一台手に入れるにはどうしたらいいか」とその老人に尋ねたという。これは、敵意に満ちた者の心にさえ福音が届いた瞬間であった。

国連開発計画(UNDP)の2022年の報告によれば、アフリカの若者たちが過激派に加わる主因は「宗教的信念」ではなく、「貧困」と「失業」であるという。実際、希望のない経済状況の中で、ジハード思想が彼らに「意味」と「居場所」を与えてしまっている現実がある。だが、福音はその根本にある渇きに答えるものなのである。

主イエスは言われた。「自分の敵を愛し、迫害する者のために祈りなさい」(マタイ5:44)と。ともすると、われわれは恐れにとらわれて、敵を祈りの対象から外していないだろうか。過激派たちの心を変えられるのは武力ではない。それができるのは、キリストの愛なのだ。

ラジオから流れる福音放送によって変えられたあのジハード主義者のように、彼らの心が開かれ、キリストの福音を聞いて霊的変化が起こるように祈ろう。そして何よりも、彼らを愛することができるように祈ろうではないか。

困難なブルキナファソのために祈っていただきたい。

■ ブルキナファソの宗教人口
イスラム 52・2%
プロテスタント 9・2%
カトリック 11・5%

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石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。