オーストリアは、音楽、芸術、文化、そしてアルプスの美しい自然に彩られた国である。その洗練された文化的遺産とは対照的に、霊的な実態には空虚さが漂っている。
オーストリアの84%もの人々が「神の存在を信じている」と答えており、これは欧州諸国の中では比較的高い値だ。しかし、イエス・キリストとの個人的な関係を持つ者はごくわずかである。
カトリックは長年にわたり国の文化と社会の根幹を成してきたが、近年では多くの人々が教会を離れている。性的スキャンダルの頻発や、課税所得の1%を教会に納める「教会税(Kirchenbeitrag)」制度もその要因である。カトリック教会に失望しても、多くの人はそれ以外の信仰に目を向けようとはしないというのが実態のようだ。
一方で、福音派およびカリスマ派の教会は着実に成長している。とりわけペンテコステ派の教会は、2000年から2010年の間にほぼ倍増しているのだ。若者たちの間では祈りのムーブメントが広がり、現在では1千人以上が参加する「オーストリア祈りの会議(Austrian Prayer Congress)」が隔年で開催されるまでに発展してきた。
そのような活発な動きがあるが、福音派の信徒は人口のわずか0・5%に過ぎない。これは欧州の中でも極めて少ない割合である。生ける主イエス・キリストを礼拝し、福音を大胆に宣べ伝える教会が、今後さらに増やされるよう祈りが必要だ。
一方、カトリック内部にも刷新の動きが存在する。福音的信仰に目覚めたカトリック信徒たちによる小さなグループや霊的な刷新の働きが各地で芽吹いており、そこに新たな希望の兆しがある。福音派とカトリックが協力して福音を前進させることができれば、オーストリアの霊的風景も変わっていく可能性がある。
オーストリアのリバイバルのために祈ろう。イエス・キリストを個人的な救い主として信じる新生の信者が起こされるよう、祈っていただきたい。
■ オーストリアの宗教人口
カトリック 64・5%
プロテスタント 4・5%
無神論 11・5%
イスラム 5・5%
ユダヤ教 0・1%
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