社会には、いろいろな組織があります。組織には、それに関わる人々の価値観の一致が必ず必要になりますし、何を共通利益とするかで、その安定と発展が決まります。
聖書には12部族や12弟子、7つの教会といった信仰者の組織が出てきます。教会における価値観の一致は、主イエス・キリストによってもたらされ、その共通利益は天の御国です。
1. 教会の御使いと聖霊
エペソにある教会の御使いに書き送れ。「右手に七つの星を持つ方、七つの金の燭台の間を歩く方が言われる。」(黙示録2:1)
「それらの燭台の真ん中には、足までたれた衣を着て、胸に金の帯を締めた、人の子のような方が見えた」(黙示録1:13)…人の子で神の子であるイエス・キリストは、天の御国・天の幕屋の大祭司です。
「わたしの右の手の中に見えた七つの星と、七つの金の燭台について、その秘められた意味を言えば、七つの星は七つの教会の御使いたち、七つの燭台は七つの教会である」(黙示録1:20)…七つの星と、七つの金の燭台とは、イエス・キリストの権威と力の下に置かれた、世界にある教会ごとに送られた御使いと聖霊を意味しています。
「あなたがたに告げます。天が開けて、神の御使いたちが人の子の上を上り下りするのを、あなたがたはいまに見ます」(ヨハネ1:51)…やがて、イエス・キリストが教会の体となり、天が開けて、星のような光の御使いたちが天地を上り下りして教会を助けるのを、信仰者たちは見ます。
1節をギリシャ語原典と参考聖書から解説すると、「御国の大祭司イエス・キリストから、都市型のエペソにある異邦人教会に送られた御使いに書き送れ。権威と力を表す右手に、全世界の教会に送られた御使いを表す7つの星を教会ごとに送り、全世界の教会に送られた聖霊である7つの金の燭台の間を歩くイエス・キリストが言われる」となります。
全世界にある教会のタイプとして黙示録の初めに出てくるのが、エペソにある都市型教会です。また、全世界の異邦人教会を見回る主イエス・キリストが黙示録に書かれています。
キリストは、悪魔の支配する世界において、キリスト者たちを通して教会を建て上げ、主の権威と力によって御使いを教会に遣わし、聖霊を教会に送って住まわせ、救いと癒やし、解放とあらゆる祝福の御業を行われ、教会を用いて天の御国を建設されています。
2. 労苦と忍耐
わたしは、あなたの行いとあなたの労苦と忍耐を知っている。また、あなたが、悪い者たちをがまんすることができず、使徒と自称しているが実はそうでない者たちをためして、その偽りを見抜いたことも知っている。あなたはよく忍耐して、わたしの名のために耐え忍び、疲れたことがなかった。(黙示録2:2、3)
「私は、今していることを今後も、し続けるつもりです。それは、私たちと同じように誇るところがあるとみなされる機会をねらっている者たちから、その機会を断ち切ってしまうためです。こういう者たちは、にせ使徒であり、人を欺く働き人であって、キリストの使徒に変装しているのです。しかし、驚くには及びません。サタンさえ光の御使いに変装するのです」(2コリント11:12〜14)…使徒パウロは、権威的で高慢でうそつきである指導者たちが教会で誇りたがるので、このような偽使徒を断ち切る、と言います。
ギリシャ語原典と引用聖句から解くと、「主であり師であるわたしは、弟子であるあなたの行いと、労苦と忍耐を知っている。また、あなたが、誇る機会をねらって使徒と自称している者たちの偽りを見抜いたこと、悪い者たちを試して、わたしの名のために耐え忍び、疲れなかったことも知っている」となります。
教会の中にも時に、自分を誇ってリーダーや指導者になりたがり、自分の意見が通らないと騒いで混乱を起こし、人を脅しさえするような悪い者がいます。このような、自分を誇る機会をねらっている悪い者や偽使徒に対して教会は、その悪を見抜いて忍耐強く対話し、それでも悔い改めなければ彼らを断ち切る他ないのです。
3. 初めの愛
しかし、あなたには非難すべきことがある。あなたは初めの愛から離れてしまった。それで、あなたは、どこから落ちたかを思い出し、悔い改めて、初めの行いをしなさい。もしそうでなく、悔い改めることをしないならば、わたしは、あなたのところに行って、あなたの燭台をその置かれた所から取りはずしてしまおう。(黙示録2:4、5)
「わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい。もし互いの間に愛があるなら、それによってあなたがたがわたしの弟子であることを、すべての人が認めるのです」(ヨハネ13:34、35)…教会員同士が愛し合うことで、世の人々は教会員をイエスの弟子と認めます。
「不法がはびこるので、多くの人たちの愛は冷たくなります。しかし、最後まで耐え忍ぶ者は救われます」(マタイ24:12、13)…教会内で起こる不法によって教会員たちの愛は冷たくなるが、信仰で忍耐し、愛し続ける者は救われます。
「忍耐が練られた品性を生み出し、練られた品性が希望を生み出す…この希望は失望に終わることがありません。なぜなら、私たちに与えられた聖霊によって、神の愛が私たちの心に注がれているからです」(ローマ5:4、5)…信仰の忍耐は新しい品性を生み出し、失望しない希望を生み出します。神の愛が無い人間たちの心に、聖霊により、神の愛が注がれます。
4節を解くと「あなたの教会は、悪い者によく忍耐し対処したが、一つ非難すべきことがあります。それは、教会運営の中で不法がはびこり、互いの愛が冷たくなり、互いに愛し合いなさいという初めの行いから離れたので、人々からイエスの弟子であると認められなくなったことです」となります。
5節を解くと「神の愛から離れたことで、どんなに高い神性からどんなに低い人間性に落ちたかを思い出し、悔い改めて、初めの神の愛で行いをしなさい。もし、悔い改めることをしないなら、わたしはあなたの教会に行って、神の愛を注いでいた聖霊の燭台を取りはずし、死んだ教会にしてしまおう」となります。
教会は、天の御使いによって守られており、聖霊の賜物を用いて礼拝や奉仕、交わりを行います。しかし、教会内に偽使徒や異端、利益目的の悪い者が入り込むと、彼らは聖書を私的に解釈したり、自己利益のための活動を行ったりして、教会を破壊しようとします。
教会は、争いを起こす者たちと議論し、彼らを説得、指導し、悔い改めを求め、時に教会から追い出します。結果的に、互いに愛し合うという初めの行いから離れてしまい、ともすると、教会が人の管理能力によって運営されるようになります。
神は、このような宗教的教会から聖霊を取り去り、そのために真理を失い、死んだ教会になると警告しているのです。
4. 勝利を得る者とパラダイス
しかし、あなたにはこのことがある。あなたはニコライ派の人々の行いを憎んでいる。わたしもそれを憎んでいる。耳のある者は御霊が諸教会に言われることを聞きなさい。勝利を得る者に、わたしは神のパラダイスにあるいのちの木の実を食べさせよう。(黙示録2:6、7)
「バラムはバラクに教えて、イスラエルの人々の前に、つまずきの石を置き、偶像の神にささげた物を食べさせ、また不品行を行わせた。それと同じように、あなたのところにもニコライ派の教えを奉じている人々がいる」(黙示録2:14、15)…旧約時代の偶像の預言者バラムはバラク王に偶像礼拝を教えましたが、同じように新約時代のニコライ派も、イスラエルの人々に偶像礼拝を教え、不品行を行わせました。
「神は人を追放して、いのちの木への道を守るために、エデンの園の東に、ケルビムと輪を描いて回る炎の剣を置かれた」(創世記3:24)…サタンにだまされて神を裏切り、堕落したアダムとエバは、命の木のあるエデンの園から追放されました。神は、裁く律法の焼き尽くす炎の剣で、彼らをエデンの園に戻れなくしました。
ギリシャ語原典と引用聖句から解くと、「愛が冷めたエペソ教会であるが、あなたはわたしも憎んでいる、ニコライ派の偶像と世的不品行を憎んでいる。故に、信仰の耳のある者は、御霊が全世界の諸教会に言われることを聞きなさい。信仰の勝利を得る者に、神のパラダイスにある命の木の実を食べることを許し、最後の審判の後に御国を相続させよう」となります。
まとめ
教会は、神から遣わされた御使いによって守られており、教会員は聖霊の賜物と能力であるタラントを用いて礼拝や奉仕、交わりを行い、イエスの弟子として互いに愛し合います。
教会は、聖書から神の御言葉を語り、キリストを信じる信仰の行いで神の栄光と力を証しし、偽使徒や異端、自己利益を追求する悪い者たちから教会員を守ります。
教会は、偶像礼拝や不品行などを取り入れた教えを断固排除すべきです。そのようにして、御霊が言われることに聞き従い、御霊によって歩む人は、神のパラダイスにある命の木の実を食べることが許され、最後の審判の後に御国に入ります。
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