
パレスチナ自治区ガザ地区唯一のカトリック教会である聖家族教会が、現地時間17日午前10時20分(日本時間同日午後4時20分)ごろ、イスラエル軍による空爆を受け、3人が死亡、10人が負傷した。
聖家族教会を管轄するラテン典礼エルサレム総大司教庁の発表(英語)によると、負傷者のうち3人が重体で、そのうち1人は特に危険な状態だという。負傷者には同教会の主任司祭であるガブリエル・ロマネッリ神父も含まれているが、軽傷で命に別状はない。同教会では、約500人が避難生活を送っていたと伝えられている。
総大司教庁は、「罪のない民間人と聖なる場所を標的」とした攻撃だとして、強い非難を表明。一方、「この悲劇は、ガザ地区で起きた他の多くの悲劇と比べ、それほど深刻でも悲惨でもありません。他にも多くの罪のない民間人が被害を受け、避難を余儀なくされ、殺害されました。死、苦しみ、そして破壊は至る所に蔓延しています」と述べ、ガザ地区の窮状を訴えた。
その上で、「指導者たちが声を上げ、人道的にも道徳的にも正当化できないこの悲劇を止めるために必要なことを全て行う時が来ています」と強調。「この恐ろしい戦争は完全に終結しなければなりません。そうして初めて、私たちは人間の尊厳を回復するという長い取り組みを始めることができるのです」と訴えている。
ローマ教皇レオ14世は同日、バチカン(教皇庁)国務長官のピエトロ・パロリン枢機卿を通じて電報(英語)を送り、多くの死傷者が出ていることに「深い悲しみ」を表明。ロマネッリ神父と聖家族教会の共同体全体への寄り添いを誓い、悲しむ人々の慰めと負傷者の回復を祈った。その上で、改めて即時停戦を呼びかけ、対話と和解、そしてこの地域の永続的な平和に対する深い希望を表明した。
一方、イスラエル軍はX(旧ツイッター)への投稿(英語)で、聖家族教会で生じた被害と死傷者に関する報道は認識しており、調査中だとしている。その上で、「民間人や宗教施設を含む民間施設への被害を軽減するために、あらゆる実行可能な努力を行っており、それらに対する被害は遺憾だ」と表明した。