2025年7月15日13時16分

米フラー神学校、平和構築センター新設 教会・社会双方に和解もたらす指導者を育成

フラー神学校
(写真:フラー神学校)

福音派の代表的な高等教育機関であるフラー神学校(米カリフォルニア州)は、教会と社会の双方における紛争、分裂、二極化の高まりに誠実に対応できるキリスト教指導者の育成を目的とした「平和構築・紛争変容センター」を新設する。

センターは、これまで平和構築に取り組んできたキリスト教主義のイディオス研究所(英語)と提携する形で設立し、平和構築を学術プログラムと公的取り組みに統合することを目指す。政治的暴力や社会不安から、教会の信者・グループ間の緊張に至るまで、さまざまな問題に対処するための神学的訓練、研究、実践的リソースを提供する。

イディオス研究所はこれに伴い、独立した組織としては活動を終え、その働きをセンターに継承する。初代センター長には、イディオス研究所の創立者で所長でもあるクリスティー・バインズ氏が就任する。バインズ氏は、次のように話している。

「フラー神学校と提携し、平和構築・紛争変容センターを設立できることを光栄に思います。この取り組みは、キリスト中心の和解に向けた相互コミットメントを反映するとともに、重要な局面も迎えています。世界の教会が、信仰に基づくリーダーシップ、学術的厳密さ、霊的確信をもって、深まる分裂と紛争に対応しなければならない時代にあるからです。この折にかなった取り組みを確立した(フラー神学校の学長である)ゴートリー博士と理事会のリーダーシップ、ビジョンに感謝します」

計画では、平和構築の学習が、フラー神学校の既存の学術プログラムに統合される。同時に、企業や政府機関、非営利団体など、他の機関との幅広い連携も模索していく。

フラー神学校は発表(英語)で、「このセンターは、聖書の原則に基づいた神学的考察、研究、実践的訓練の場を提供します」と強調。また、センターの基盤には、名誉学長で上級教授(信仰と公共生活)のリチャード・マウ氏のリーダーシップがあるとしている。マウ氏は長年にわたり、公的な話し合いの場における礼節と宗教間対話に焦点を当てた研究と教育に取り組んできた。

デビッド・ゴートリー学長は、センターの設立に感謝の意を表し、次のように述べた。

「敵意の毒性と二極化の拡散は、容易に収まるものではありません。世界中のイエスの弟子たちは、紛争を変容させ、平和を築くという呼びかけに応えなければなりません。フラー神学校は祝福されており、さまざまな教会、文化、国籍、そしてさまざまな分野にわたるリソースを結集する新しい時代に入ります。この重要な働きに必要な能力を、さまざまな人々や教会、組織が開発するのを支援します」